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障害者のスポーツ教室
放送日:2015年08月01日
担当:楠葉絵美
今回は障害のある人を対象に開かれているトランポリン教室を取材してきました。
トランポリン教室が行われていたのは、
障害者スポーツに以前から力を入れてきた葛飾区の総合スポーツセンターです。
詳しい話を葛飾区 生涯スポーツ課 事業係長の小峯淳也さんに聞きました。
「昭和59年に、区では大きい総合スポーツセンターを建てたんですけど、
当時は健常者のみの利用ということだったんですが、
散歩している障害をお持ちの方々とお会いすることがあって、
私たちが出来る環境ないんだよねっていうお話をいただいて、
じゃあ何か出来ないかなというところで、
平成6年くらいから定期的なスポーツ教室を開催するようになりました。
健常者の方と障害者の方が一緒にスポーツする場面っていうのはなかなか無くて、
当時は障害をお持ちの方と一緒にプールに入るのが嫌だというお声もあったり、
今ではプールをやったりトランポリンをやったり、
また様々な、健常者と障害をお持ちの方が一緒に楽しむような場面も
たくさん増えてきています。」
トランポリン教室以外には、
水泳教室や、ボールを的に向けて転がす「ボッチャ」というスポーツがあります。
教室ではありませんが、
障害者スポーツ大会としてヒップホップを踊ったり、
卓球もしたりします。
このスポーツセンターでは月に2回ほど教室が開かれていて、
毎回トランポリン教室には20人ほどが参加しています。
年齢は8歳から47歳までで、
身体的な障害がある方や、精神的な障害がある方など様々です。
年齢も、障害も違う人たちが一緒にスポーツを楽しんでいます。
トランポリン教室に参加していた方の家族に話を聞きました。
「うちの子は初めてのトランポリンでしたので
足元の不安定さがとっても気になってたんですけど、
思った以上に楽しんで、私は親として再発見をしたような感じがあるんですね。」
「もう作業所から帰ってくると早く来たくて来たくて
時間が待ちきれないくらい楽しみ。
来る前も帰った後もテンションは高いです。
代謝が良くなるのと気分が高揚してるのと、
やっぱり汗をかくっていうのがすごく良いんだろうと思うんですけどね。
お風呂入って即寝るみたいな。
こういう教室がずっとあったらなと思うくらい。」
他にも家に帰ってからの会話が増えたという方が多くて、
他の会話は続かないのに、
トランポリンのことは楽しそうに色々話してくれると嬉しそうでした。
またお子さんが飛んでいる間、
皆さん大きな声で応援したり手を振ったりと家族も教室を楽しんでいました。
6人のコーチの中で、指導歴27年の斎藤安江さんに、
障害がある人がトランポリンをすることの良さを聞きました。
「体幹がやっぱり悪いんで体幹が良くなるっていうことが1点と、
それからボディイメージが作れないんですよ、
何をして良いかどうかってことがわからないので、
それをトランポリンを通して、形と言葉と教えながらイメージを作らすって、
そういうのを目的にやっています。
障害がある人こそ、取り組めるスポーツが少ないんで、
トランポリンっていうのはあまり難しいルールが無いんで、
はっきり言って一番取り組みやすいスポーツなんですよね。
走るのも良いんですけど、
トランポリンってただ飛んでるだけでニコニコしてますよね。
私は、障害を持ってる人たちにとって
トランポリンは本当に最高なスポーツだと思います。」
私も少し飛ばせてもらったんですが、飛ぶことはすぐに出来ました。
(回転や座って立つなどの技は無理でしたが)
ただ飛んでいるだけなのに、3分も飛ぶと汗がじんわりと出てきて、
見ている以上に体全体を使っているんだなと感じました。
そして何より、楽しい!です。
学校などでもトランポリンは子供に人気があります。
教室では、一緒に来ていた家族も夢中になって飛んでいる時もあるほどです。
何事も楽しくないと続かないですもんね。
障害がある人の中には、集中力が続かない人もいます。
教室に初めて来た時は、順番が待てず走り回ってしまった人が、
今ではみんなと一緒に座って他の人の演技を見ているそうです。
スポーツを通じて家族も驚くような変化が現れている人もいるんです。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックもありますし、
アスリートを育てるためだけじゃなく、
障害がある人が
日常的に気軽に楽しめるスポーツの教室がもっと増えると良いなと思いました。
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