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音楽で結ぶ日本とブラジル 『日伯芸術音楽協会』
放送日:2015年06月20日
担当:進藤誠人
住民の中に日系ブラジル人が占める割合が高く、その文化を
体験できる町として知られる、群馬県大泉町で活動する
音楽の団体を取材しました。
名前は『日伯芸術音楽協会』。伯はブラジルの意味です。
代表は日系ブラジル人3世の木下ラファエルさん30歳です。
協会を作った目的を聞きました。
「協会を作ったのは、ブラジルと日本が交流しやすい場所を
作りたいと思って。音楽と芸術、陶芸のワークショップとか
やったり、楽器を通して演奏会とかみんなが交流できればと
思って団体を作りました」。
木下さんは6歳の時、日本に来ましたが、その時に受けた
いじめや、音楽を通じて立ち直った自身の経験などから、
特に、日系人の子供の非行の防止や、日本人、日系人問わず
聡明な子供を育て、差別やいじめのない社会を作っていきたいと
いうことで、その手段が音楽なんです。
音楽は木下さんが得意なバイオリンを使ったクラシックが中心で
活動の1つは、木下さんが先生となって下は5歳の子どもから
上は50代の大人まで、日本人・日系ブラジル人問わず、
バイオリンを教えています。毎週末に20人くらいが公民館に
集まって練習しているということです。
今はバイオリンだけですが、将来はチェロやコントラバスなどの
弦楽器を揃えて、フルオーケストラにするのが目標だそうです。
さらに木下さんは『日本ブラジル音楽フェスティバル』という
コンサートを企画し、大泉町のホールで開催されました。
出演したのは、地元群馬出身のバイオリンとピアノのデュオ
『Ciel(シエル)』で、『ラ・バンバ』をはじめとする
ラテンやボサノバなどのブラジルや中南米の音楽に挑戦したほか
有名なポップスをボサノバ風にアレンジした曲や『情熱大陸』の
テーマ曲など、「日本ブラジル」の名にふさわしく、いろんな
曲目がありました。
また、コンサート後半は群馬のジュニア・オーケストラが
Cielと共演し、バイオリンやチェロ、クラリネット、
フルートなど様々な楽器を持った子供たちがステージに
上がりました。
観客の皆さんも手拍子をして、盛り上がっていました。
このジュニア・オーケストラには、木下さんやCielの
バイオリン担当・浅沼さんも子供の頃所属していたということで
木下さんは、普段教えている生徒さんが、今後コンサートで
共演出来ればいいなと話していました。
コンサートに来たお客さんの感想です。
『いろんな国の方々と触れられて、音楽も触れられていいと
思います』『普段はクラシックしかやってないので、今日は
ラテンぽい音楽も一緒に見れて楽しいです』『言語とか人種とか
すべてを超えて、音楽で1つのものを作り上げる。本当に音楽は
言葉を超える、人の心を1つにさせる素晴らしいものだと
思います』。
そして、実はこのコンサート、ロビーでも普通のコンサートとは
ちょっと違った光景がみられました。
コーヒーや炭酸飲料のガラナなどのほか
『ボンデケージョ』という、もちもちの丸いチーズパンや
『コシーニャ』という、中にチキンが入ったコロッケのような
ものなど、ブラジルゆかりの食べ物を売っていて、
知ってる方も初めてという方も買い求めていました。
こんなコンサートを開いたり、バイオリンのレッスンをしたりして
日本とブラジルの交流を深めようという『日伯芸術音楽協会』ですが
今後について、木下さんは「年末に東京でコンサートをして
存在を少しでも知ってもらいたい」と話していました。
来年は、オリンピック・パラリンピックがブラジルで開催され
その次は日本ということで
日本とブラジルの友好の輪が、より広がるといいですね。
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