担当:進藤誠人
社会の様々な問題をリボンでアピールすることが増えています。
オレンジリボン運動は「児童虐待のない社会の実現」を
目指しています。
今月は、国が「児童虐待防止推進月間」と定めていることから、
9日に「子どもの虐待死を悼み命を讃える市民集会」が
都内で行われました。
冒頭、集会はこんな風に始まりました。
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父親の元同僚の男が熱湯の浴槽に落とし、
やけどを負わせて死亡させたとされています。10歳でした。
生活苦から祖父に首を絞められて死亡しました。9歳でした。
無職の母親に脇腹を刺されての失血死でした。
「お母さんがごはんを作ってくれない」
「夜、帰ってこない」と訴えても誰も答えてくれませんでした。
11歳でした。
それでは、ここで黙とうを捧げたいと思います。黙とう。
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亡くなった47人の名前と、その状況が読み上げられると
なぜ、殺されなければならなかったのか、
その子供たちの無念さが伝わってきました。
続いて、この集会を主催したNPO「児童虐待防止全国ネットワーク」の
理事長、吉田恒雄さんのあいさつです。
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今回で12回を迎えることになりました。
この集会が始まった頃に比べ、虐待防止の対応は随分進んできました。
法改正が大きなものだけでも2回行われ、虐待の予防から介入、
そして防止へと、切れ目のない支援を目指した制度の改正、運用などが
行われてきています。
しかし、こうした制度の改善にもかかわらず、
虐待で命を落とした子どもの数は50人くらい毎年続く、
これは変わっていないんですね。
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制度を変えただけでは、解決にはなっていません。
子供のいる家族を取り巻く周りの環境も大事なようです。
そのためにも、広く実態を知ってもらおうとオレンジリボン運動は始まり、
この日も集会のあと、リボンをつけた参加者が銀座などを歩いて
アピールしていました。
集会では、小児科医で国立成育医療研究センターの森臨太郎先生が、
子どもが死亡したいきさつなどを検証することで虐待の予防につなげる、
「チャイルド・デス・レビュー」や
妊娠中から母親を支援する体制の必要性を訴えていました。
また、電話相談などを行っている「子どもの虐待防止センター」の相談員さんは、
次のように話してくれました。
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例えば、赤ちゃんがいるお母さんからですと
「泣いてばかりでどうしていいか分からない」という不安や
「下の子が生まれて上の子がかわいいと思えなくなった」
「カッとなって叩いてしまった。いけないとわかっているのに…」と
後悔されたりという相談がとても多かったんですけれども、
私たちはお母さんたちの気持ちに寄り添って
「これからもイライラを1人で溜めないでお電話ください」と
お伝えしています。
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誰かに悩みを話すことで防げる虐待があります。
悩みを話せる「誰かがいること」が大事なのです。
このセンターに寄せられる相談の9割はお母さんからということでしたが、
虐待はお母さんだけの問題ではありません。
NPO児童虐待防止全国ネットワークの高祖常子さんも
「そもそも、子どもが健やかに育まれていれば虐待にはならない。
そうした環境をつくることが大事だ」と話していました。
その環境づくりのためにも、オレンジリボン運動がもっと知られてほしい。
そういった思いで、NPOでボランティアをする大学生も多いのですが、
その1人、久米隼さんの話です。
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今、全国で100校以上の大学がオレンジリボン運動に
参加してくださっているのですが、
それらが点となって活動しているのを横でつなげないかなと。
子どもたちがなぜ虐待を受けてしまうかといったら、
正しい知識・理解ができていないまま親になってしまったということで、
学生に対してオレンジリボン運動や子ども虐待の問題を
正しく理解してもらうことが、虐待防止につながるんじゃないかと
考えています。
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将来、子どもができた時に、親としてどうあるべきか、
男女を問わず、若い頃から考えることは大切なことです。
関連情報・お問い合わせ先
- オレンジリボン運動 公式サイト
http://www.orangeribbon.jp/
- 子どもの虐待防止センター
http://www.ccap.or.jp/
相談窓口 03-5300-2990