今日は、ろう学校のレストランについて
TBSラジオの清水栄志ディレクターが取材しました。
ろう学校=聴覚に障害のある人たちが通う学校の生徒が運営している
葛飾区にある、東京都立葛飾ろう学校。
この学校では、毎月1回「かつろうキッチン」という
レストランを学校内で開いているんです。
詳しいお話を葛飾ろう学校の柏倉克哉先生に伺いました。
柏倉先生「調理師を目指す生徒が運営するレストランなんですが、
普段自分たちが調理実習で作っているものを参考に、
お客様に何を出すのか、試作や商品開発を行って
地域の方に食べて頂くという試みをしています。こちらの専攻科では
全国で唯一調理師の資格を取得する事が出来ます。
将来、調理師として働いていく上で必要な資質をレストランの中で
身につけて欲しいということで、生徒たちが運営して行っています。」
こちらの葛飾ろう学校では、聴覚障害のある生徒にも
調理師の資格を取って欲しいと2005年に専攻科食物系という学科を作り、
卒業と同時に調理師免許を取得できるようにしました。
そして去年4月に、この「かつろうキッチン」を開いて、
調理の実践経験を積んでもらうとともに、
地域の人にろう学校のことを知ってもらおうという取り組みを行っています。
営業はランチタイムの午前11時からで、この日のメニューは
オムライスとジュリエンヌスープ、きのこのサラダ、ぶどうのゼリーでした。
11時のオープン前から並ぶ、地域の人やインターネットで
知って神奈川県から来たという人など、多くの人がいらしていました。
そのかつろうキッチンで生徒が一番勉強になることはどんな事なのか。
取材した日に料理長を担当した井上さんに伺い、
柏倉先生に手話の通訳をお願いしました。
井上さん「例えば、普通のお店の様子は、
忙しいということが私たちは分からない。
けれども、このレストランで同じようにやってみて実際に働いてみたら
大変だなということが分かって、働いている人たちがすごい事が分かった。
レストランをやっていれば将来、調理師として役に立つかなとは思います。」
聴覚障害のある人たちにとって、お店の様子、
特にレストランの厨房というのはどれくらい忙しいものなのか、
耳で感じつらいそうなんです。
また、例えば調理時間を測るタイマーの音も聞こえないこともあるそうで、
光るタイマーを使って、そのタイマーを『忘れずにきちんと確認する』ことや、
時計をこまめに確認するということを徹底しています。
井上さんは調理師を目指すにあたって、
こういったレストランの仕事を体験できるということは、
とても貴重だと教えてくれました。
そんな「かつろうキッチン」ですが、
実際のレストランと同じような料金をお客さんにもらって
サービスを提供しているということもあり、
お客さんからこんな評価もあるそうなんです。
再び柏倉先生のお話です。
柏倉先生「こちらのレストランは、将来、
調理師を目指す生徒が社会に出るために学んでいる
ということをお客様にお伝えしているので、
評価も厳しい評価を頂いている。
きょうもアンケートを見たが、デザートの飾り付けや、
サラダの味についてアドバイスを頂いた。
しっかり生かして改善して将来に繋げていってくれたらいいなと思っています。」
さらに、この日ランチに来ていた、生徒の保護者の方にも
お話を伺う事が出来たんですが、
かつろうキッチンについて、こんな事を仰っていました。
生徒の保護者「ろう学校というのは、
ろうの子に対しての対応をしてくれるじゃないですか。
でもろう学校だからどうこうっていう一線をおかないで、
いろんな考えを持つ人が来てくれて
かつろうキッチンがあるというのはいいことだと思うし、
子供たちにとってはすごく、世の中に出た時のチカラにもなると思う」。
アンケートを見て落ち込んでいた生徒もいたということなんですが、
そういったことを経験して今後に
生かしてもらえるんじゃないかと仰っていました。
障害があるからと評価が甘くなってしまいがちですが、
そうではなくて、しっかりレストランの主旨を
お客さんに伝えることによって生徒たちの将来に生かしてもらう。
こういったことも必要だと思います。
関連情報・お問い合わせ先
- 東京都立葛飾ろう学校
HP
http://www.katsushika-sd.metro.tokyo.jp/cms/html/top/main/index.html
電話:03-3606-0121