担当:崎山敏也
「買い物弱者」の問題は駅前商店街が衰退した地方都市などではよく指摘されますが、地方だけでなく、首都圏でも課題になっています。
崎山記者が今回取材したのは「多摩ニュータウン」。1971年に入居が始まりましたが、初期に入居した地区は急速な高齢化が進む一方で、スーパーの撤退も起きています。坂道もあります。
「買い物に不便を訴える住民」などの要望から、去年11月、
沿線に路線を持つ「京王電鉄」が多摩市と連携して、食品や日用品の「移動販売」を始めたんです。
火曜日の午前中、豊ヶ丘団地の中の2カ所で崎山記者は取材をしました。
2トントラックが到着し、スタッフが、すいかや桃、タマネギや
大根といった野菜や果物が入った箱を周りに並べてゆきます。
案内の放送を流すと、次々と買い物客が現れました。
ゆっくりと歩いてきた高齢の女性は「便利だし、京王ストアから来てくれるから。重たいのだけ買うの。駅近くの三越とかから、こんなに持って歩くのは大変。私、腰が痛いから」と話します。また一人暮らしだという高齢の男性は「近くて良いですよ。団地の中にきてくれますからね。この年ですから、免許証は返しました。危ないですので」ということでした。また、30年くらい住んでいるという中年の女性も「結局こういう重いものは、外から買ってくると大変なので。キャベツにじゃがいもに、きゅうりを買いました」と買ったものを見せてくれました。
移動販売車では、野菜や果物のほか、牛乳や豆腐。即席麺やお菓子、飲み物や調味料の他、トイレットペーパーなども売っています。
車の中にも詰め込まれていて、階段を少し上らなければならないので、足腰の弱った方のために、スタッフが代わりに取ってあげたりしていました。
最初は300品目だったんですが、「あれはないの」といった声に応じているうちに、およそ400品目に増えたそうです。グループ会社の京王ストアから持ってくるのですが、価格はお店と同じです。
基本は週1回ですが、要望で2回にした地区もあります。1カ所にだいたい35分滞在しますが、客が絶えることはありませんでした。
京王電鉄は、以前から「京王ほっとネットワーク」という名前で、家事代行や住宅関連のサービスなど、いわば、地域の「よろず相談」のような事業を沿線で手がけてきました。
そして去年、多摩市と「地域発展の推進に関する包括連携協定」を結んだことから、それに基づく最初の事業として、「買い物弱者支援」が始まったんです。
京王電鉄沿線価値創造部の川久保浩さんは「少子高齢化が進んでいて、沿線の人口も伸び悩んでいます。その中で、住んでもらえる、選んでもらえる沿線作りを進めていく上で、お客様の困ったことにおこたえできるようなサービスが必要だと思っています」と話していました。
今回取材して崎山記者は、ただ品物が必要だけなら、宅配でもいいかもしれませんが、この移動販売は、高齢者のひきこもり防止や、地域のコミュニティの維持にもつながっているのかな、とも感じたんです。
楽しくおしゃべりしながら、買い物をしていた女性二人組は
「助かりますよ。それにみんなに会えるからね。1週間に1回。みなさんに。おしゃべりするのは、くだらないことだわね。自分の身体のこととか。ピーコックがなくなっちゃたけど、でもかえっていいね、このほうがみんなに会えて」と話します。また、中年の女性は、「ずっと続いて欲しいな、と思っています。なるべく利用して、続けていただきたいな、と思います。ここを、ついの住みかにしようと思っていますので」と話していました。
農林水産省の推計では、生鮮食品を売る店が半径500メートル以内になく、車を持たない65歳以上の買い物に不便を感じている人は、全国に380万人はいます。
街の状況や、やり方は異なるかもしれませんが、住み慣れた街に住み続けるためには、京王電鉄の「ほっとネットワーク」のような試みが各地で必要とされていることは間違いないでしょう。
関連情報・お問い合わせ先
- 京王ほっとネットワーク
http://www.keio-hot.net/