担当:小林真理
埼玉県桶川市に、今年の4月、
あるカフェがオープンしたということでおじゃましてきました。
『HIBIKI Café』という名前で、
運営するのは、県立浦和商業高校の出身で「太鼓集団 響」のメンバー4人です。
うち、3人は定時制の出身で、小中学校時代に不登校の経験があります。
その一人、飯島学さんにこのCafeを始めたきっかけを聞きました。
やり直せる場所っていうのが、ここ最近少なくなっているのかなって思っているところがありまして、何か学びたい、というような個人的な欲求も満たせるような場所でもありたいですし、学び合えるというか、支え合えるような場所にもしていけたらなと。
ひらたく言えば、浦商定時制のような、学びの場所をもう一度作る、と。
生徒が主人公っていうような学校作り。学校行事を生徒が手作りで、自分たちで責任を持ちながら、学校生活を充実したものにしていく。
そこにやりがいみたいなものを見つけて、学校生活を送ることが出来ました。
飯島さんは小学校5年生の時、先生のちょっとした一言で、学校に通えなくなり、中学校もその状態が続きました。
しかし、浦和商業定時制高校に入学してから、毎日通えるようになり大学にも進学しました。
飯島さんにとって、定時制の高校が自分をやり直せる場所になったんです。
そして、高校で太鼓と出会ったことから、今では太鼓のプロとして活動しています。
その一方で、浦和商業の定時制が2008年に廃校になったので、それをきっかけに、HIBIKI Caféを企画したんです。
JR桶川駅から歩いて数分の住宅街の中の一軒家をモダンな作りに改築してあります。
中に入ると、文庫や新書がたくさん並んだ本棚や、ゆったり座れるソファ、スタッフと近い距離で話すことが出来るカウンター席などがあります。
また、ここで勉強したい、という若者がきたときのために、おしゃれなランプの付いた一人用の机も用意されています。
好きなように、のんびりと、いたいだけいられる雰囲気をかもしだしています。
店舗責任者の飯島裕美さんは、飯島学さんの妹なんですが、
自分の不登校の経験が接客にも活きているようです。
開店して3ヶ月、裕美さんは次のように話していました。
何名か、やっぱり不登校の子を持つお母さんですね。から相談に実際お店に来られたりして、お話を伺ったことがあるんですけど。
あと実際、遠いところから来て頂いて、
『学校に今行けていないんだ』と本人が来てくれたりとかして、私たちの経験とかをお話させて頂いたりとかしながらです。
私だったらここでコーヒーを入れたりとかして、
「今辛くても何かきっかけがあればすぐ変わって、気分も変わって前に進みだすことが出来るんだよー」っていう話をさせて頂いたりとかしているんですけど。
もちろん、コーヒーを楽しむだけでもかまいません。
飯島裕美さんは、本格コーヒーを提供できるよう、コーヒー豆や焙煎を覚えるため修行をし、こだわりのハンドドリップを習得しました。食事メニューも充実しています。
スタッフの佐々木恵さんは、こんな風に話してくれました。
ほんと、いろんな人にですよね。不登校の子ももちろんですけど、普通におじいちゃんおばあちゃんとか、そういう人も気軽に来れるようなそんなカフェ。
誰でも来れるような、保留コーヒーとかもあるんで、お金がない人でも本当気軽にそういう風に来て頂けたらなーと。
「保留コーヒー」とは、耳慣れない言葉ですが、イタリアのミラノ発祥で、
お金に余裕がある人が一杯分多くお金を払い、その分をお金がない人がコーヒー一杯を飲むことができる、というものです。
取材でおじゃました日は、120杯分の保留コーヒーがたまっていました。
またこの日は、月に一度行われている、浦和商業の定時制を題材にしたドキュメンタリー映画の上映会の日でした。
来ていた方は、何回目かの来店だったようですが、保留コーヒーの形で寄付したこともあるということなので、お話を聞いてみました。
★もちろんコーヒーを飲めるところはありますけど、想いのあるところって必ずしも多くないかなって思っているんで、そういう意味で応援するって言っちゃあれですけど。
★ひとつのモデルケースとしてここが成功すれば、小さな光がみえてくると思うんで、そういう意味でも応援させてもらっています。
月一で行われているメンバーのルーツがわかるドキュメンタリー映画の上映会は、本日7月26日の夕方から行われます。
上映会の詳細や、桶川の「HIBIKI Café」については、HPをご覧ください。
関連情報・お問い合わせ先
- 『HIBIKI Café』
http://blog.livedoor.jp/hibikicafe/