「ワンデイシェフレストラン」があちこちで開かれています。
レストランを起業したい人や料理自慢の主婦らが日替わりでシェフをつとめるお店で、商店街の活性化などの目的にして、あちこちに生まれています。
埼玉県蕨市、京浜東北線蕨駅の西口商店街にあるのが、
ワンデイシェフレストラン「ぷらっと」。崎山敏也記者が取材した4月20日(日)はクルド料理のお店「めそぽたみ屋」でした。
クルド人は主にトルコ、イラク、イランなどの国にまたがって住んでいます。「自分の国を持てない世界最大の民族」と呼ばれることもあります。日本にはトルコからの難民を中心に500人以上いるとみられますが、その大部分が、蕨市と隣の川口市に住んでいるんです。
クルド料理は香辛料が香辛料が効いていて、トマトとヨーグルトをたくさん使うのが特徴です。この日のメニューのランチプレートは、肉団子料理の「イズミル キョフテ」。
鶏肉のスープ「エトゥリ ファスリエ」。パンにクルド風サラダ。ヨーグルトチーズ。それにデザートとチャイがつきました。
午前11時の開店と同時にお客さんが次々と来店。趣味でいろんな国の料理を食べ歩いていて、秋田県から来たという男性は「トルコからの難民の方多いと聞いていたんで、ちょっと支援にでもなれば、と思って、足を運んだんです」と話します。また、蕨市に住んでいるといご夫婦は「家がもうすぐそこで、一回行ってみたいな、と思ってました。新鮮です。街でクルドの方をお見かけしたことはあるのですが、お話ししたりしたことはなかったので、きょうはよかったです」と話していました。
この日は午後2時までの3時間で、43食が出て、用意した材料は全てなくなりました。
シェフをつとめたのは、クルド人のお母さんたち。その娘さんたちと、支援団体「クルドを知る会」のメンバーが厨房や接客を手伝いました。
日本に来て6年。高校2年生の娘さんに話を聞きました。「すごい忙しかったからうれしいですね。日本人の口に合わないかな、と思っていたんですけど、みんながおいしいって言ってくれるから、よかったです」。
今は高校生なので、勉強に忙しく、料理をする時間はあまりないのですが、少しずつクルド料理の作り方を覚えてゆきたいと話していました。
また、お母さんたちは日本語があまりできないので、話はしなかったのですが、表情を見ていると、嬉しそうだし、今後もやる気十分、という感じでした。
「めそぽたみ屋」がワンデイシェフレストランに参加したのは、家にひきこもりがちになるお母さんたちに外に出てもらうこと、そして、地域の住民がクルド人と交流するきっかけとなってもらうためです。
開店を支援した「クルドを知る会」の会長、松澤秀延さんは「お母さんたちにとっては日本語の上達につながりますし、自分の料理を食べてもらうと励みにも自信にもなります」と話します。そして、「これだけ地域にたくさんのクルド人が住んでいるのですが、なかなか日本人と交流の機会がない。こうした機会があると、みんな我々と同じ人間なんだということが再確認できますよね」とも話していました。
難民として逃れてきたクルド人の多くは、立場も不安定です。子供たちの将来もなかなか見通せません。それでも、希望を持って仕事に家事に、そして学校で頑張っています。 そうしたクルド人の現状や、クルド人をめぐる国際関係などを知るきっかけになってほしいと崎山記者は思いました。
蕨市で開かれるクルド料理のお店「めそぽたみ屋」、次回は5月31日(土)です。
詳しくは「クルドを知る会」のフェイスブックなどをごらん下さい。
関連情報・お問い合わせ先
- クルドを知る会
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