担当:長田新
最近は、病院などで、男性の看護師さんを見かけることが多くなりましたが、2012年の厚生労働省の調査によりますと、全国の看護師さんの数は、101万人あまり、そのうち、男性看護師は6万3000人あまりと、わずか6%程度しかいないのが現状です。
女性の看護師が多く、まだまだ数が少ない男性看護師は、苦労する点も多いと言います。現在27歳で都内の大学病院で働く男性看護師の方に聞きました。
行くたび行くたび、お医者さんだと思われちゃうっていうことは最近多いですね。「あっ、先生、来てくれて有り難う」とか言われて「あっ、看護師さんなんです」っていうふうに言ったりすると、あのう、年配の方だと、「男の看護婦さん!」って言われたりとか。結構、まだまだ珍しいみたいで…。
職場の中で、「えっ、お前もそうなのか!?」「なんだ。お互いに大変だよな」といったやりとりがなかなか出来ませんから、結果的に、ひとりで悩んでしまうことも多いそうなんです。
そうしたなか、日本男性看護師会という全国組織が発足しました。およそ450人が加入して社団法人として登録も済ませました。日本男性看護師会の発起人のひとりで、自らも看護師である坪田康佑さんは、今後の具体的な活動について、次のように話しています。
自分の上司に男性の管理職がいないために、どう相談すれば良いんだか分からないというような課題が色々と挙がっていたので、ここの相談が出来ると良いなと。で、女性管理者の看護部長さんたちも、男性の部下に、どうキャリアを勧めていけばいいんだか分からない。どのような人員配置にすれば良いんだか分からない。というようなところで課題を感じているということがあったので、これに関しては、もう男性看護師会という情報が集まってくれば、お互いにとってメリットになるすばらしい答えが出てくるんじゃないのかなと思っています。そういう活動をして行きたいなと。
また、病院に対しては、たとえば、「病院を建て直す際に、男性目線の動線の確保を提案する」とか、企業に対しては、「情報不足から開発が遅れ勝ちな男性看護師用のナース服の開発のサポートをする」といったことも考えているそうです。
この他、患者さんに対して、「男性看護師のメリットをアピールして、患者さんに男性看護師を選んでもらえるようにしよう」という意見も出たそうです。男性看護師のメリットという点について、さきほどの、27歳の男性看護師さんに聞きました。
意外と働いてみて思ったんですけど、男の人が女の人の中にいると、雰囲気ガラッと変わるんですよナースステーションの。女の人だけだと、まああの、ちょっとギスギスしたりすることも、なんか、中にはあるみたいなんですけども、そのギスギスが、こう柔らかくなるっていうんですかね。「なんか今日、ナースステーション来やすいな」みたいなことを言われたりとか…患者さんにも利益が出て、単純に働きやすくなる。そんな感じですね。
職場のムードメーカー的な存在のほか、たとえば、患者さんの入浴や介助の際に、力の強い男性がサポート出来ますし、小児科病棟では、患者に接する時間の少ない医師に代わって、男性看護師が「父」や「兄」の役割が果たせます。また、おじいさんが、女性には自分の排泄の処理をされたくないという場合とか、自分の最後は男性に看取ってもらいたい。などなど、男性看護師の活躍の場は、ますます広がりそうです。
日本男性看護師会の坪田康佑さんは、将来の目標について、このように話しています。
男性看護師ならではの患者さんに対するメリット、職場に対するメリットというのは、かなり米国の方では研究されていて、アメリカにも看護協会というのがありまして、アメリカの看護協会は、男性看護師さんの数がある程度いるとメリットがあるという風に研究してきまして、今、アメリカはですね。20%の男性看護師を作ろうというような活動をしています。私たちの中でそれに近いようなことをですね。職場環境がより豊かに、そしてまあ、アジアの福祉国家と言われるような国に貢献できて行ったらいいなと思っています。
性別に関係なく、看護師さんが、ますます仕事がやりやすく、そして、人気の職業になるように、頑張って頂きたいです。
関連情報・お問い合わせ先
- 日本男性看護師会
http://www.nursemen.net/