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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

失った声を再現する「日本語ボイスバンク」

放送日:2014年04月12日
担当:楠葉絵美


今日は病気などで声を失った方、失いつつある方に、
『もう一度、自分の声でコミュニケーションをとってもらうための取り組み』を取材しました。

これには「テキスト音声合成」という技術が使われます。
例えばカーナビや、歌声を作成出来るボーカロイド初音ミクなどです。


物理学者のスティーブン・ホーキング博士が音声合成ソフトを使っていますが、
音声合成の技術は医療の分野で飛躍的に進歩しています。

実際に、喉頭ガンで声帯を摘出した方や、
筋肉の動きが低下していき
声が出せなくなる運動ニューロン疾患などの患者の方が使用しています。
日本でも(株)ウォンツの「ボイスター」という音声合成ソフトがありますが、
実際にこのソフトを使って喋っている山崎かずおさんに聞きました。

「声を失ったものとしては非常に明るい気持ちになることが一番大きいです。
声は昔の私の声だと言って、私の声を知ってる人はこの声で安心します。
これは体の一部になりつつありますので必需品です。」
  

本人はだけじゃなくて、周りの人にも安心感を与えるんです。

実際に、どうやってこの声を作っているのかというと
声が出せなくなる前に、スタジオで2時間ほどしゃべってもらって、
その収録した声を合成しています。
ただ、病気が進行して声が出づらくなっている方にとっては、 2時間も収録ができません。
こうした中、なるべく短い時間の収録でも、普段話していた声を再現出来る
『日本語ボイスバンク』というプロジェクトが立ち上がりました。
音声合成の研究をされていて、このプロジェクトの代表
  国立情報学研究所の山岸順一准教授の話です。

「声を失った方、もしくは声を失いつつある方に、
元の自然な声で会話が出来るようにしていただきたいと思っていまして、
元の声質、声色を再現出来る音声合成機を作ろうとしております。
そのために本人の声だけではなくて、日本全国から健常者の声を集めることで、
その地域・年齢・男性女性それぞれに合った、それぞれの特徴をちゃんと表した
声のテンプレートのようなものを作ることが出来ます。
このテンプレートを用いることで、少ない収録時間で済むというメリットに加えて、
例えば、声の一部が出なくなったとしても、
出ないところを他の方の声の特徴を参照することで、
昔の声をコンピューターが推測することが出来ます。」


つまり、いろんな人の声を使って、出なくなった声を再現するわけです。

山岸准教授によると、話し方、日本語の母音・子音には共通した音の位置関係があって、
音声や舌の動きなどから推測して元の声を再現することが出来るそうです。
ただ、育った場所や、年齢、性別によって違いが出るので、
その人に近い声や舌の動きが必要になります。
それをコンピューターに覚えさえて、
音声や舌の動きを推測することで
声を失った方の声の収録時間が短くても、元の声が再現出来る仕組みになっています。


この『日本語ボイスバンク』、私も収録してきました。

収録ではこのような文章を1時間読んで収録します。

「彼が図書館で一冊の本を借りた」
「私には記憶が全くない」
「彼らがまっすぐ自分たちの道を進む」」


普通に短い文章を読むだけなんです。

私のこの1時間の収録が音声合成を必要としている人に役立つわけです。

声を失った人に近い声や舌の動きが必要となるわけですが、
そのためには今はたくさんの情報が必要です。
このボイスバンクプロジェクトでは、
日本全国からボランティアを募っていて、これまでに100人ほど収録をしたようです。
ボランティアに来ていた人に感想を聞きました。

「話せないっていうのはすごいストレスだと私は思うんですよね、
だからそういう方に少しでも声を使って表現をする感情を表すということが、
こんなことで出来るようになるんだったらそれはすごく嬉しいっていう風に思います。
どんどん使ってください、こんな声でよければ。」
「じゃんじゃん使えるものは使ってもらえたらいいなと思います。」
「人生の大きな一歩になるのかなってその方にとっては、
私1人じゃないですけど、いろんな人の声が入ってですもんね、 おもしろいなと思います。」


自らボランティアに加わることで、
1人の人の声を作るのにこれだけのことが必要なんだと実感します。
私自身、1時間の収録を終えた時、
声を失うことの大変さを、少しですが感じることが出来ました。

この日本語ボイスバンクのボランティアが増えれば増えるほど、
自分の声を取り戻す人を増やせるきっかけを作ることが出来ます。
山岸准教授は
すぐにボランティアの方が100人も集まってくれて驚きましたと話していましたが、
実際にプロジェクトが動き出すのに700人くらい必要なので
まだまだボランティアを募集しています。
(仮にボランティアに参加された方が声を失ったとしても、
収録した声を使って再現出来るそうです。)

また、この技術は研究実証段階で、
全く声が出なくなってしまった人には今のところは適応出来ないのですが、
今後、留守番電話に残された声やビデオの声などからでも
元の声を作ることができる研究も進んでいるようです。



※ボランティア募集しております。
詳しくは国立情報学研究所のホームページをご覧下さい。

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