担当:小林真理
今回は大活字本について取材しました。
大活字本は目が見えにくい弱視者や、高齢者が読みやすいように作られています。
ほとんどの場合、字の大きさが普通の本の2倍以上あって文字の形も、大きくしても見やすいゴシック体になっています。
また、黒い背景に白い文字と、紙の色と文字の色が反転している大活字本もあります。見えにくさは人それぞれで、こちらのほうが読みやすい方もいるということです。
それから、腕の力が衰えた高齢者の方が本を抑える必要がないようにリングで製本されているものもあり、本がめくりやすくなっています。
この大活字本の専門店『VIVA神保町』が東京の神保町にオ2013年11月2日にオープンしました。
図書館には大活字本のコーナーがある所もありますが、全国でおよそ半分しかなく、
本屋さんに至ってはほとんど流通していないのが現状で、こうした状況を改善したいとオープンしたものです。
『VIVA神保町』を運営する、NPO法人大活字文化普及協会の市橋 正光さんは、
「大活字本の普及というのが図書館だけではなかなか行き届かない。図書館に足を運ばない方には全く無縁の世界。その中で、もう一つは、ずっと出版をやってきて結局読者の接点の場所が増えていかないと大活字本の普及につながらないということに気付いたんですね。こういう書店という読者が気軽に本と出会える場所を作っていって、この出会える場所が本の街神保町で成功という形になっていけば各地で立ちあがってくるだろうと、思ったのです」と話します。
大活字本は、必要としている人は大勢いるはずですが、その一方で、知られていないことから需要が見込めず、
これまで1作品あたり、多くても数百冊しか作られていないのが現状です。
ですから、まずは本の街・神保町に専門店を開いて、広めようというわけです。
場所は、古本屋や新刊書店が立ち並ぶすずらん通りのビルの6階にあります。
大活字本はおよそ2,000点並べられていて、店内は明るく、本やコーナーにつけるポップも白黒反転でライトアップされていて、見やすい状態になっています。
本以外にも、拡大読書機やルーペ等の読書補助具も販売しています。<br>
お店のオープンに協力した、生まれつき弱視の弱視者問題研究会の新井 愛一郎さんは、<br>
「僕たちは本読むことに非常に苦労しています、私などはルーペで目を読むのにくっつけてですね、ずっとこう読んでいきます。ですから、結局読書が楽しみじゃなくてですね、非常に苦しい作業であるっていうことが言えるんですね。もうあの苦労して一冊読んだっていう目が疲れて体が疲れたっていう、本の感想よりもそういう感想・体験が多いわけで、そういう意味ではおおきな活字の本が沢山出ていくというのは非常に嬉しいことだと思います。」と話します。
新井さんが普通の文字の大きさの本を読む時は、目を真っ赤にして本に鼻をくっつけるほど近づけるので、鼻の頭も黒くして読んでいたそうです。
なので、今回の大活字本のお店の開店にあたっては、もっと普及してほしいと、さまざまな助言をしたそうです。
その甲斐もあって、VIVA神保町に来たお客さんのなかには
「ずっと読書をしてきたけれども、高齢によって本が読み辛くなって
断念していました。しかし、この本屋に来て読める本があった!」
という方がいたそうです。
また、家族が店に来ておじいちゃんやおばあちゃん、親御さんへのプレゼントとして選ぶ方もいたようです。
障害者手帳を持っている人に限っても、視覚障害者は30万人位いて、
そのうちの7割以上が弱視と言われています。
大活字文化普及協会の市橋さんは、
「こういった専門書店と言うのがこの神保町の一角でオープンして、この神保町のお店がモデルケースとして各地にそういう専門書店なり専門コーナーが増えていくことによって、出版社が大活字本を出して行こうということに繋がって、最終的には全ての本が大活字本として出ていけるような環境づくりを進めていきたいと思います。」と話してくれました。
弱視者問題研究会の新井さんも、「要するに弱視者にとって読みたい本が
いつでも読みやすい本になっていて欲しいんです」と話していました。
また、市橋さんは、「全ての人が読書や読み書きができる社会はすなわち、
読書権という権利が保障されている社会」だといいます。<br>
読書だけではなく、生活に必要なさまざまな情報を得ることもできません。
大活字文化普及協会は、
“読書権が保障される社会の実現”を目指しているということです。
関連情報・お問い合わせ先
- NPO法人「大活字文化普及協会」
http://www.daikatsuji.co.jp/