担当:崎山敏也
11月の2日と3日、東京のJR中野駅北口の広場で、「チャランケ祭」というお祭りが開かれました。この「チャランケ祭」は首都圏に住むアイヌ民族と沖縄出身者が一緒になって作り上げてきた祭です。
「チャランケ」はアイヌ語では「とことん話し合うこと」という意味。そして沖縄では「チャーランケ」と、「消えんなよお」という意味で使うそうです。このことに気づいたアイヌ、沖縄の二人の男の出会いから祭は始まり、中野で20年続いてきました。
2日間の祭の初日には、神に祈りを捧げるアイヌの伝統的な儀式「カムイノミ」が、北海道から来たアイヌ民族も加わって行われ、祭の成功を祈りました。また、二日目には「旗あげ」という沖縄伝統の儀式が行われ、大きな旗を太鼓や鐘、ほら貝の音と共に担ぎ上げて、世界平和を祈りました。
そして、沖縄とアイヌを中心に、北欧の少数民族、サーミや岩手の伝統芸能など様々な文化の歌や踊りが繰り広げられました。太鼓を叩いて踊りながら練り歩く、沖縄の「エイサー」やアイヌの楽器、「ムックリ」の演奏などが披露され、お客さんたちはじっと聞き入ったり、時には踊りに飛び入り参加したり、また、学校の授業でアイヌや沖縄の踊りを取り入れている子供達の参加もあって、賑やかに楽しく二日間が過ぎていきました。
初めて寄ってみたという男性は「きょうたまたま仕事の帰りで寄ったら、なんかやってんな、と思って、ちょっと寄ってみようかなと。初めてだけど、けっこうおもしろいっすね」と話していました。また何度か来ているという女性は「日本の他のお祭りにはないような、そういう雰囲気で。衣装とかもみんな変わってるし、出てる料理もあんまり知らない料理がけっこうあって」と話し、楽しんでいる様子でした。また、子供がアイヌの踊りを踊るというお母さんは「アットホームな感じの沖縄の踊りとアイヌの踊り、文化が融合している素敵なお祭りだと思います」と話し、
「子供達はすごい楽しそうに踊るんで見て下さい」と言い残して、去りました。
そして、会場には沖縄そばを始めとした、沖縄の屋台、また、鹿肉のどんぶりなどアイヌの料理を出す都内唯一の店、「ハルコロ」も店を出し、賑わいました。
「ハルコロ」の宇佐照代さんは、歌や踊りも披露したのですが、その宇佐さんに話を聞くと、「東京っていう、一番多文化の国ですし、うちのお店があるところも、新大久保というすごく異文化の街なので、そういう場所にあるからこそ、文化を広めていく、 すごく啓発できるんじゃないかというのがあります」と話します。、また歌や踊りのグループに最近若い人が増えていることについてふれ、「自分たちが、楽しく歌って踊って、ご飯食べて、それを背中を見てもらって育っていってもらえばいいなと思います。若い子たちが楽しい、という風に思ってくれるのがありがたいです」と話していました。
若い世代が文化をつないでいこうとしているのを見ていると、こうやって、東京が、様々な文化が豊かに共存する街に益々なっていくのかな、と取材した崎山敏也記者は思いました。
アイヌと沖縄を中心にしたこのお祭り「チャランケ祭」、いつまでも中野の地で続いていって欲しいと思った崎山記者でした。
関連情報・お問い合わせ先
- 第20回チャランケ祭
http://charanke.jugem.jp/