担当:山崎景子
高齢者の話に耳を傾ける「傾聴ボランティア」の話です。
老人ホームやデイサービスなどで広く行われていて、今では珍しくありませんが、
最近『高齢者の話を聞く』だけではなく、 『聞いた話を本にする』ボランティアまで登場しました。
一般のおじいちゃん、おばあちゃんの話が本になるんですか?!
「聞き書きボランティア」と言うんですが、この活動を行っているのは新宿のNPO法人『白十字在宅ボランティアの会』です。
事務局の加藤 敦子さんに、なぜ本にする活動を始めたのか聞きました。
★お話してくださる内容は非常に面白いですし、昔の知恵というだけではなく考え方であったり、
色んなことを教えて頂けるので、ただ聞いて、私だけが、へぇすごいですねって、
言って終わってしまうのはもったいないし、
それを残すことでその時代を知らなかった人も知ることができるのが素晴らしいことだと思うので。
高齢者の知恵や経験は貴重ですよね。
活字で残こしておけば、いつでも見られますしね。
そこでボランティアの様子を見に、新宿区のマンションに住む88歳の藤原馨さんのお宅にお邪魔しました。
ボランティアの方がチャイムを鳴らすと、長身でメガネをかけたスーツ姿の藤原さんが出迎えてくれて、
私たちをリビングに通してくれました。そしてお茶が用意されたテーブルを囲みこのように話が始まりました。
★今日は、昭和30年の私に戻らせていただいて、(是非是非お願いします。)
私の事というよりも、付き合っていた人、その方を中心にお話させてしたいと思うんですけど、私は父の下働き、、、
おじいちゃんの昔話を聞いた事を思い出しますね。
ボランティアはまさしく藤原さんの孫娘のような年の2人でした。
この日は藤原さんの生涯の友だった『小沢さん』という方との思い出話だったんですが、
「戦時中はフィリピンにいたけど、終戦の頃に少年兵の教員として日本に呼び戻されて生き延びた人なんですよ」とか
「昭和30年代はまだ娯楽は映画くらいだったんですよ」という話が出て、うなづいたり、質問をしたり、時には笑ったり、あっという間に一時間半経っていました。
ボランティアの2人とって貴重な経験になりそうですね。
ボランティアの一人吉永幸恵さんは「勉強になったこともたくさんあるし知らないことに触れさせて頂いているのは本当に幸せなことだと思います」と話していました。
藤原さんにも感想を聞きました。
★次の会が待ち遠しいですよ。お二人が見える2.3日前から今度はどういう筋書きで、、
という頭の中では予行練習はしますね。楽しいですよ。
ご迷惑をかけているんじゃないか、自分がやりすぎじゃないかなと思いながらも、あっという間ですよ、
時計見たら、あ、もうこんな時間だというような、あそこに掛け時計がなければいいと思うくらい。
話を聞いてもらうのはもちろん、本が出来上がるのも楽しみにしているそうで、
『小沢さんのお孫さんに渡す予定なんですよ』と気恥ずかしそうに話していました。
話に出てくる『小沢さんのご家族』も見ることができるんですね。それは嬉しいでしょうね。
この後一冊の本にしていくわけなんですが、聞いた話を本に『まとめる』のではなくて、
聞いた話を「そのまま」本にしていくそうなんです。
その理由を白十字在宅ボランティアの会の加藤さんに聞きました。
★敢えてまとめないことを大事にしています。
ただ生まれは青森のどこどこで 何人兄弟の末っ子として生まれ、みたいにしてしまうよりも、
イヤイヤ、私は田舎者だから恥ずかしいよと言いながらどこそこで生まれ、家は農家でねというのを出すことで、
その方を知っている方が、あ〜って喋っている情景が目に浮かぶようになるので。
方言も、口癖もそのままなんです。
『その人らしさ(その人の色)を大切にしたい』からだそうですが、
そのためにも話を聴く時は、『ただなんとなく』ではなく、
『話したいことを自由に話せる場』を作ることが大切だそうです。
見ていて「話の腰を折らないように」頷いたり、質問をしたりするのは大変そうだなと感じました。
そこで白十字在宅ボランティアの会では、『ボランティアの養成講座』も行っているそうです。
事務局の加藤さんは『核家族化も進んでいますし、 高齢者と普段触れ合う機会が少ない高校生や大学生にも参加して欲しい』と話していました。
関連情報・お問い合わせ先
- NPO法人 白十字在宅ボランティアの会
http://www.hakujuji-net.com/