担当:長田新
今日は、外国人が多く暮らしている団地、神奈川県のいちょう団地で行われている「夜の日本語教室」について、お伝えします。
いちょう団地は、住民3500世帯のうち、2割程度が外国人といわれていて、神奈川県内最大の多文化共生地域になっています。夜の日本語教室は、毎週、水曜日と土曜日の午後7時から8時40分まで、いちょう小学校の中にある「いちょうコミュニティハウス」で行われています。
参加してみると、みなさん、とても熱心なのに驚かされます。先生も、日本の方でない方もいらっしゃいます。例えば、ベトナム人の方が集まっているテーブルでは、先生もベトナム人の方でした。10歳で来日し、大学1年の時から、この活動に参加して、「キャリア10年」というベテランの先生・ハーさん。
取材した日は、雨が降っていて、「果たしてどのぐらいの生徒が集まるのだろうか?」と思ったんですが、あっという間に40人近い生徒が集まりました。皆さん大人の方です。話を聞いてみました。
『初めて日本に来ました。初めて仕事をやって、本当大変でした。疲れたです。でも、毎日仕事をやって、段々できました。1週間で2日間、ここで日本語を勉強します。先生やさしい。やさしい人、一杯言葉を教えてくれました。だから私、とてもうれしいです。』『仕事、忙しくて、勉強しないです。だから、会社とか病院とか、色々意味分からない。だから。』
皆さん、初々しくて好感を持ちました。特に、最初の男性には、日本人がどこかに忘れてきた「謙虚な気持ち」を感じました。昼間だと仕事で忙しくて勉強できないので、「
夜の日本語教室」が必要とされているんです。
さて、夜の日本語教室の先生は、ボランティアです。今度は、先生に話を聞きました。
『会社を辞めて空いたので、日本語を教えるのは面白いなと思って、やっぱりやって良かったですよ。とにかくね。いろんな国の人と話せるでしょ。とても楽しいですよ。』
先生も夜の日本語教室を楽しんでいるようです。どんな人が先生をやってるのかというと、高校生や社会人、主婦、そして、この地域の中で育った外国籍の人などで、飛び入りも大歓迎だそうです。
さて、夜の日本語教室は、今から19年前に、多文化まちづくり工房・代表の
早川(はやかわ)秀樹(・ひでき)さんが、大学のサークル活動として始めました。
現在は、外国人に対する日本語教室だけではなく、生活上の困りごと相談や、子ども達に対する学習教室をやったりサッカーをやったりと、地域と外国人を結びつける活動へと発展しています。
多文化まちづくり工房代表の早川秀樹(はやかわ・ひでき)さんです。
『何かあったときに、例えば、ベトナム語で通訳が必要なんだけど…っていう時に、本当に通訳として活動出来るわけじゃないけれども、ちょっとだったら分かるよとか、顔が見えていれば、ちょっとごめん。ここ手伝ってとか、この人、今、こんなんで困っているみたいなんだけど、どうしたら良いだろう?っていうのを、お互いに連絡が取れたりとかっていうのが、一番大事なのかなと思っていて、東日本の震災の時も、すぐに中国語の通訳とかベトナム語の通訳の子に一生に動いて貰ったりとか。人の顔が見える関係というのを団地の中でしっかり作っていくというのが、ひとつ大事なことなのかなと思っています。』
日本人同士でも難しいことを、色々な国の人が住んでいる団地でやっていらしゃるんです。
身近な外国人との関わりについて、さきほどのベトナム人の先生・多文化まちづくり工房スタッフのハーさんはこう話しています。
『日本の人って、結構海外に行かれる方が多いと思うんですけど、自分の国の中にも海外があって、すぐそこにあるのでね。海外だけじゃなく、「日本の中の国際」というか、「日本の中の海外」というか、そういうのを見て欲しいなっていう風に思っているので、日本の中にある魅力を、もっと一緒に味わえたら良いのじゃないのかなって、最近はよく思うんですけど…。』
多文化まちづくり工房では、夜の日本語教室だけでなく、「朝の」日本語教室や学習教室もやっていてボランティアの先生を募集しているそうです。
実は私も取材中、急きょ、先生をやることになりまして、まあ、先生というよりは、中国人の男性2人と色々とお互いの身の上話をしました。尖閣諸島の問題などにも話が及びましたが、残念ながら、日本語での会話には限界があって、意見交換までには至りませんでした。しかし、話をする前とは少し違った、親近感を持っている自分に気が付きました。
皆さんも日本語で話すんだったら、なんとかなりそうな気がしませんでしたか?
関連情報・お問い合わせ先
- 多文化まちづくり工房(代表・早川秀樹さん)
045−805−4323