「学童保育」の現状について長田新さんが取材しました。
「学童保育」は、小学生が放課後、親が仕事から帰ってくるまで過ごす場所で、
最近では「放課後児童クラブ」などと呼ばれたりしています。
学童は、現在、全国に2万2000カ所ほどあって、90万人近い子どもが利用しています。
共働き家庭や一人親家庭が増えている中で、学童の数も、利用している子どもの数も、
増えていて、その数はこの10年間で1・6倍にも上ります。
将来的には「小学生の半分が学童を使う時代が来るかも」といわれています。
そして、子どもが1年間に「小学校で過ごす時間が、1220時間ほど」なのに対して、
「学童で過ごす時間は、1680時間」にも上っているのが現状です。
学校の先生よりも、場合によっては、親よりも、学童の指導員の方は、
子どもと一緒に過ごす時間が多いのかもしれません。
つまり、指導員の役割が非常に重要になってくるんですが、いくつか問題が指摘されています。
実は現状では、「学童指導員の資格」というのは、法律上定められていないんです。
それゆえ小学校の先生や、保育士とは、待遇面で大きな格差が生まれているんです。
全国学童保育連絡協議会の真田 祐(さなだ ゆたか)さんに伺いました。
「仕事そのものは非常にやりがいのある仕事なんだけれども、なかなか、続けて行くことが難しいというので、大体3年で半数の指導員さんは入れ替わってしまっているという実態がありますよね。ええ。将来設計が立たないんじゃないんですかね。」
重要な仕事であるにも関わらず、どんどん入れ替わってしまうというのは、
もったいないことですよね。
全国におよそ9万2500人いる学童指導員の7割が、年収150万円未満で、
8割の方が非常勤職員というのが現状なんです。
この金額では、本当に、将来設計が立たないですよね。
実はこうしたことを受け、2年後に施行される改正児童福祉法では、
「学童保育指導員の資格を決めて給与などの待遇改善を行おう」と議論が進められています。
しかし、財源などの問題もあり、実際に待遇改善されるかは未知数です。
さて、こうした中、今、民間企業が参入し、きめ細やかなサービスで
人気を集めている学童保育があります。
「年収が150万円満」という現実がある一方で、民間の学童保育には違った一面もあるようです。
取材したのは、株式会社キッズベースキャンプです。現在、開業7年目で、
20か所の施設を運営しています。私が取材した日は、後6時を過ぎて、
お父さんやお母さんが迎えに来ると、一人一人の名前を呼んでお
別れの挨拶をして帰って行きました。
公営の学童は、午後6時までしか子供を預かってくれませんが、
キッズベースキャンプは最大で午後10時まで預かってくれます。
また、希望すれば夕食も出ますし送迎サービスも行っています。
こちらでは、指導員のことを「コーチ」と呼ぶんですが、「認定キッズコーチ」という
独自の指導員の資格を設けています。
そして、待遇も正社員ですから、もちろん、しっかりとしたお給料も出ます。
子ども達に、コーチについて聞いてみました。
「学校の先生みたいな人ってわけじゃないけど、いつも遊んでくれて、楽しい日々を過ごしているのはコーチのおかげかなと思っているから、まあ僕たちにとっては良い存在」
「面白い。こっちの方が面白いし、あっちは厳しい。忙しいからかまってくれない。キッズだと色々となんか一緒に遊んでくれるの」
「じゃあ、やっぱり今から普通の学童に行けって言われたらどうする?」
「いやだ。拒否する」
キッズコーチは子ども達にも大人気のようで、お話を聞いた31歳の男性コーチは、
すでに結婚してお子さんも2人いて、仕事にもやりがいを感じているようでした。
最後に保護者に、学童に子どもを預けることについてお話を伺いました。
「特にこういう東京とかだと、近隣のつながりって、結構疎遠なんですよね。そういう意味で、きちんと叱ってくれるという意味では、学校の先生も、私たち保護者も、キッズコーチも、そういう意味では同じ立場というんですか、そういう部分だと思っています 」
「曜日によって両方利用しているんですけれども、一概には言えないと思うんですが、公営の方と比べてこちらのコーチは年齢の若い方が多いので、本当にお兄さんお姉さんのような感覚で子どもが慕っている感じがします」
今回取材をして、公営・民営に関わらず、学童指導員という仕事に
もっともっと光を当てなくてはいけないと感じました。
また、学童指導員の方の地位や給与などが向上して、
気持ちよく仕事ができるように改革してほしいと思いました。
関連情報・お問い合わせ先
- 全国学童保育連絡協議会
http://www2s.biglobe.ne.jp/Gakudou/
- キッズベースキャンプ
http://www.kidsbasecamp.com/