担当:崎山敏也
人種や宗教、政治的な問題などから迫害され、やむを得ず、自分の生まれ育った国を逃れた人々、難民について取り上げた本を紹介しました。
日本にいる難民を支援している 東京のNPO法人「難民支援協会」が発売した「海を渡った故郷の味」です。
表紙には、エチオピアの民族衣装を着た難民の姿と、エチオピアの鶏肉の煮込み、ドロワットという料理の写真。この「海を渡った故郷の味」にはエチオピアの他、ウガンダやカメルーン、ネパールやビルマ(ミャンマー)の少数民族、カチンやカレンなど15の国と地域の合わせて45の料理のレシピが掲載されています。
そして本をめくると、スパイスやハーブを使った香り豊かな料理が本をめくると、次々と登場します。
6月20日は世界難民の日。それにちなんで、難民支援協会が、料理の香りや味を実際に楽しんでもらおうと、チャリティートークイベントを開いたので、取材しました。
イベントではまず、アロマやハーブの専門のお店を経営する林真一郎さんが、イラン料理で使われるハーブやスパイスの実例をあげて、身体への作用や、伝統医学で果たしてきた役割について、解説しました。
参加者は話を聞きながら、「海を渡った故郷の味」載っている、
中東のクルド民族の料理、○挽肉たっぷりクスクスの包み揚げ、イチリキョフテ○ピーマンとナスの肉詰め煮込み、ドルマ。
それにパキスタンの○ナッツとレーズンのパンプディング、
3つの料理を楽しみました。
参加者に話を聞くと、「とても美味しかったです。特にパンプディングと、なすに巻かれたクスクスの料理が私は気に入りました。料理やハーブやスパイスなどに興味がある人も難民について学ぶ良い機会だと思いました」という答えや、「すごい、美味しかったです。レシピ本を見てちょっと作ってみようかな、と思いました」という答えが返ってきました。
「海を渡った故郷の味」に載っている料理は、日本にいる難民の方が、スーパーや通販など基本的には日本で手に入る食材を使って、工夫して作ったものだそうです。誰でも手軽に真似して作れるわけです。
そして、この日は、料理を提供した難民の一人、イラン人の40歳代の男性が参加者の前で話をしました。
男性によると、イラン料理の○ナスとレンズ豆のトマトシチュー、○鶏肉とザクロのカラフルライスはどちらも誕生日パーティとか結婚パーティで定番の料理だそうです。
そして○イエローライスの冷たいデザートは、名前の通り、冷蔵庫でよく冷やしてから食べてくださいということでした。
この男性は小さい頃から母親が作っているのを横で見ていて、
作り方を覚えて、自分でも作るようになったということです。
ほんとにその方の故郷の、「家庭」の味なんです。
そして、男性は、難民になった理由や、日本で難民認定を申請してから認められるまでの間の苦しい生活のこと、難民認定後の現在の生活や将来の夢について語りました。
また、難民支援協会広報部の田中志穂さんが、日本では去年、2500人を超える人が難民認定を申請しましたが、認められたのはわずか18人で、欧米諸国に比べてもかなり少ないことなどを
補足していました。
「海を渡った故郷の味」にはレシピだけでなく、レシピにまつわるエピソードや難民の方の話、難民の方の出身国・地域の状況、難民とはどういう存在なのか、といったことも載っていて、一歩進んで知りたい人にも満足できる内容になっています。
難民支援協会の田中さんは「まずは、単純に食としていろいろ魅力的な料理があるので、ぜひ作って食べていただいて、それをフェイスブックとかで感想を載せることで、多くの方に知っていただくようなことを一緒にやっていただけたらな、と思います。
さらには、五感を通じて何か感じるものから、難民の人に思いを馳せたり、共感をしたり、そこから、私たちの社会で逃れてきた難民の人がいるということをさらに一歩踏み込んで理解をして、知る機会をまた持っていただけたらな、と思います」と話していました。
「海を渡った故郷の味」は1冊1575円。
興味のある方は難民支援協会のホームページを見るか、
03−5379−6001まで問い合わせ下さい。
関連情報・お問い合わせ先
- 認定NPO法人難民支援協会
http://www.refugee.or.jp/