担当:岡本祥子
今回は『よういくの日』というイベントを取材しました。
主催するのは行っているシングルマザーへの支援活動について番組でも
2回ほど取り上げたNPO法人「Wink」です。
「Wink」はシングルマザーのための「共同住宅」の運営や
なかなか支払われない現状がある「養育費」の問題などに
15年に渡って取り組んできました。
下北沢の北沢タウンホールで行われた
今回のイベントのテーマは「シングル家庭の恋愛、再婚を親子で語る」で、
離婚後の恋愛、再婚について、経験した親の立場の大人と
子どもの立場の高校生が語り合いました。
日本における離婚件数は毎年およそ25万件。
その裏側で毎年25万人の子どもたちが親の離婚を経験しています。
一方では再婚家庭も増えていて、その数は全ての婚姻件数のおよそ4分の1に上ります。
今回、離婚後の恋愛・再婚をテーマにしたことについて
NPO法人 Wink 理事長 新川明日菜さんは
『今うちに寄せられる子供たちからの相談で一番多いのが
親の恋愛と再婚の悩みなんですね。
急に今まで母子家庭ないしは父子家庭だったのに親にパートナーができて
自分に相談もなく家に住み始めたとか、そこでのストレスや精神的な葛藤だったりとか。
割と結構、子供にしてみると親が急なんですよね。
どうにかその子たちがもう少し悩みを軽く持ってもらえるように
何かできないかと思ったからです。』と話してくれました。
これまでシングルマザーへの支援を行ってきた「Wink」が、
今回はお子さんの悩みに視点をあてているのには理由があります。
新川さんは去年10月に、3度の離婚・再婚を経験した母親から理事長職を引継ぎました。
それに合わせてこれまでメインにしていた親の支援だけでなく、
一人親家庭に育つ子どもたちの支援に力を入れているんです。
その一環で今年からは4月19日を「よういくの日」として、
離婚後の子どもの養育環境がよくなるよう啓発するイベントを開催することにしたんです。
当事者たちが人前で経験を話すというのはハードルが高そうですが、
シングルマザーや再婚した当事者、親の離婚・再婚を経験した子ども、
それから支援者、およそ40人の参加者を前に登壇した代表者はこんな話をしていました。
★「全然、継子がかわいくないんです。それですごく悩みました。」
★目の前で手をつないで歩いたりとか、いう風には頑張っています。
でも子どもからしてみたら嫌なのかな?「イヤです!」
★親の恋愛はそんなに気にならないけど、
結婚となると一緒に住まなきゃいけなくなる。毎日顔を合わせるので辛い。
再婚後の複雑な関係のなかで、子どもの本音を聞き出すのはかなり難しいこと。
そんな中でこのイベントでは親の子どもに対する想いが裏目に出ている点も含め、
かなり両者、本音で語っていました。
他にも、親の再婚が嫌でごねていたときにお姉ちゃんにビンタを受けたとか、
学校の先生が同級生に親の再婚を発表した為いじめに遭ったなど、
子どもたちはかなり赤裸々に話していました。
当事者として登壇をした、小学4年生で両親の再婚を経験した
高校2年生の三島瞳(みしま ひとみ)さんに話を聞きました。
『両方の親が再婚すると聞いたときはとにかく恥ずかしかったですね。
嫌ですし、辛かったですし、恥ずかしかったです。
無理に受け入れようとするんじゃなくて時間が絶対に解決してくれるので。
そんなにいろいろ考えなくていいと思います。』と
三島さんは辛いと感じた親の再婚も時間をかけて受け入れることができたようで、
現在、母親の再婚家庭で暮らしていて今は充実して楽しいと話していました。
今回のイベントは「Wink」と一緒に、高校生が今年1月に立ち上げた
「気軽に相談プロジェクト」が共同で開催しました。
プロジェクト代表の細井愛香さんは両親の離婚と再婚を経験していて
相談相手がおらずつらい日々を送ったこともありました。その経験を生かして、
子どもたちがどんな悩みでも気軽に言える場所を作ろうとプロジェクトを
立ち上げたんです。当事者としてもトークに参加した細井さんに話を聞くと、
『大人の親の立場が思っていることだったり、他の親の事例だったりというのを聞けて、
私と別の境遇の子の話も聞けてすごく新鮮でした。やっぱり親も子供のことを考えて、
なにかしたいけどできないという考えがあったりとか。実際にしてたりとか。
でも。自分中心ではない。子供も交えて一緒に何かしたいなという
話が聞けてすごく安心しました。』と話していました。
細井さんはこれからは2ヶ月に1度の勉強会を行って、大人と子どもがお互いにどんな思いを
抱いているのかを、それぞれに発信していけたらと話していました。
離婚・再婚の件数が増えていて、 子どもだけでなく、親である大人も
他人に相談できない多くの葛藤や悩みを抱えていますから「Wink」のような親と子供、
両者の悩みに寄り添ってサポートできる団体の存在はますます重要になると思います。
関連情報・お問い合わせ先
- NPO法人 Wink
http://www.npo-wink.org/