担当:清水 栄志
今日は、ニートや引きこもりと呼ばれる人たちの支援について取材しました。
ニートや引きこもりというと、学校に行く事が出来なかったり
仕事に就いていない、また働きたくても働けない人たちのことで
今回はニートや引きこもりの方に向けた支援を行っている、
「育て上げ」ネットというNPO法人を取材しました。
こちらのNPO法人が設立当初から力を入れている取り組みが
「保護者向けのセミナー」なんです。
なぜ保護者向けのセミナーに力を入れているのか?
「育て上げ」ネットの古賀和香子さんは、
「本人が外に出来ない場合には、まず保護者が情報を得て、
保護者が本人に情報を伝える。そうするとウチの団体のような情報を
本人が知れるという流れになる。ウチの団体のプログラムはCMなど
やっている訳ではないので、少しでも知って頂くために色々なところで
保護者セミナーを行っている。」
と説明してくれました。
こちらの「育て上げ」ネットは、10年ほど前にNPO団体としての活動を始めました。
活動内容としては、社会になかなか戻れない。
社会に出たくても出る事が出来ない若者の就労支援を行って、
主に接客業、サービス業、農業などの職業体験プログラムを組んで、
社会復帰の支援をしています。
保護者向けのセミナーは、活動内容の説明のほかに、
保護者の相談に応じる、専門相談員の講演や、
ニートや引きこもりの経験者を交えたパネルディスカッションも行われていて、
ニートや引きこもりだった方がどのような体験をしたのか。
などを聞くことができるようなセミナーになっていました。
講演を行った引きこもり経験者の20代の男性に、
「育て上げ」ネットの支援について伺ったところ
「いろんな就業訓練をさせて頂き、清掃と畑仕事などを主にさせて頂いた。
そこで、例えば分からなくなったら相談してみる、出来たら報告する。
たかが知れている事だが、それが意外と大事でそういうノウハウが
僕には全くなかったので1から教えてもらった。」と話していました。
そんな中、パネルディスカッションで
多くの保護者の方が質問されていた事がありました。
それは、「育て上げ」ネットの支援を子どもに勧めて大丈夫なのか?ということです。
ニートや引きこもっている子どもに対して、
保護者が「外に出て、訓練を受けてみない?」と勧めることで、
「もしかしたら、親子関係が崩れるのではないか?」という
不安を持つ保護者の方が多いそうなんです。
先ほどの、引きこもりの経験がある男性も、両親から勧められたそうなんですが、
そのときの気持ちについて
「自分に積極性がないので、自分から何かを探してどこかに行こうという気が全然なかったので、
父親とか母親が行ってみたらと言ってくれたのですごく助かりました。
親もどうにかしなくちゃと思っていると思うし、
本人もどうにかしなくちゃいけないという事を一番分かっている。
親が後押ししようとしてくれているのを知れば、嬉しいとは思う。
直接伝えると変な風になるかもしれないので、さりげなく試したりすると
先に進めたりするのかなと思うんですけど。」とおっしゃっていました。
「子どもの状況などによって、声の掛け方は様々だと思う」と仰っていましたが、
パネルディスカッションで講演されていた5人の方は
いずれも親に声をかけてもらって良かったと話していました。
この保護者向けセミナーは、ほぼ毎月行われているんですが、
先月のセミナーで、ある新たな試みを行いました。
それは、就労(働く人)向けのセミナーに加えて、
進学のサポートを行っている別の団体と、共同でのセミナーを行ったのです。
「育て上げ」ネットの古賀さんは、
「10代で不登校や引きこもり経験の方だと、
進学がいいのか就職がいいのか、迷われる方が多い。保護者も本人も。
こういうセミナーをやることで、そういう人たちのニーズに
応えられないかということで試みた。たぶんどちらも必要だと思う。
今日来てる方でも10代のお子さんを持っている方だと、就労だとまだピンとこない。
だとしたら就学。
社会にどう戻っていくかというところを支援しているので
共通点はある上での違う方向なので、必要なのではないかと思う。」
とおっしゃっていました。
古賀さんは今後は、保護者のニーズに合った様々なセミナーを
もっと開いていきたいと話していました。
関連情報・お問い合わせ先
- NPO法人「育て上げ」ネット
http://www.sodateage.net/index.html