担当:澤田大樹
今日は日本で唯一の摂食障害の当事者が集まる作業所を取材しました。
横浜市にある地域活動支援センター・ミモザという施設です。
摂食障害は食べられなくてやせていく「拒食症」、食べ過ぎてしまう「過食症」、
食べ過ぎてはいてしまうものなど、食べることの偏りを中心とする
心の病気のことです。
摂食障害の9割以上が女性です。
ミモザには現在、10代から40代の
女性35人が登録していて、そのうち10人から15人が毎日通っています。
毎日パウンドケーキを作ったり、パンフレットの袋詰め作業などをして
社会復帰に備えています。
そのほかにミモザが積極的に取り組んでいるものに
月に3回行う摂食障害に関する勉強会があります。
勉強会を行う理由についてスタッフの中嶋緑さんはこう話します。
「ご本人の勉強の機会というのは絶対必要ですし、ご家族の病気に対する理解も必要で、それはずっと続けていることなんですね。私は病気の経験はないものですからそういう勉強会にスタッフが参加することを続けているので、同じ視点に立って摂食障害を理解することも続ける力になっています。」
当事者を支える周りの人も、気持ちを理解しようとしています。
ミモザはもともと、「のびの会」という摂食障害で悩む子を持つ親の会が
居場所を作る目的で設立した施設で2001年に
横浜市から正式に作業所として認可されました。
家族や当事者だけでなく、医師や心理士といった人たちが加わり
医療知識を補ってくれることで、居場所だけでなくリハビリの場としても
機能しています。
また、勉強会のほかに当事者同士が週に一度テーマを決めて症状や
人間関係などについて話し合うミーティングも行われています。
実際に通っている当事者の方にこの施設を利用して変わったことについて聞きました。
「家にいるとどうしても閉じこもってしまうので外に出て活動していると、お友達とも仲良くできるし外に出ているほうが活発にできる気がします。」
「私はミーティングに参加することが多くてはじめは自分で話すことができなくて聞いていることが多かったんですが、自分に起こった事が普通じゃないと思ってパニックになったりしてたけど、みんながそういうことあると言ってくれると自分だけじゃないから安心して落ち着けました。」
同じ状況に置かれた人とやりとりすることで勇気付けられています。
これはピアカウンセリングといって共通の体験を持った人同士が集まって
互いの話を聞き合うことで悩みを解決しあっていく治療方法のひとつです。
利用者の方は仕事をしている人や結婚して家庭を持っている人の話も
聞けるので回復していくための道を描けると話していました。
みなさん、どれくらいの期間で回復しているのでしょう?
すぐに回復するわけではないのが摂食障害という病気の難しいところで、
ミモザに10年近く通われている方も多いんです。
そこで、ミモザではこんな工夫をしています。
スタッフの岩室智枝さんに聞きました。
「新しく来た方はゆっくりされていいんですけれど、ここに長く通って社会復帰に進んでいる方はやはりいつまでもぬるま湯につかっていてはいけないので、「こういうところではこういうことをしてはいけないよね」とか、普通の大人が思うようなことを言ってあげる様にしています。だから、社会に向けて進んでいる方にだんだんだんだん厳しくなっていくと言う感じですよね。」
摂食障害は、一度回復したと思って社会に出てもさまざまなストレスに
さらされると症状が再発してしまう人も少なくなくありません。
社会でうまくやっていくために厳しい面も交えながらバランスを取っていく
必要があると岩室さんは話していました。
摂食障害に悩む人は多いと聞きますから、当事者だけでなく
われわれの側も理解するために学ぶことが必要かもしれませんね。
関連情報・お問い合わせ先
- 地域活動支援センターミモザ
http://www.nobinokai.or.jp/mimoza/index.html
- NPO法人のびの会
http://www.nobinokai.or.jp/