担当:清水栄志
今日は、里親制度について取材しました。
里親制度というと、いろいろな事情で、
家庭で子育てが受けられなくなった子どもを代わりに預かって育てるという制度ですが、
そのうち、今日は『フレンドホーム』を取材しました。
『フレンドホーム』について民間の児童養護施設「至誠学園」の
統括学園長 高橋利一さんは
「児童養護施設や乳児院の子どもたちの色々な境遇を理解してくれる方々で、
親戚のような付き合いをする。
週末や夏休みなど家庭に連れて行って頂き家族と一緒に生活したり、
旅行に行ったりといった経験をさせて頂き、
施設で足らない養育の部分を愛情を含めてみて頂いている。」
と話します。
週末や学校の休日を使って家庭で預かる制度なんです。
「フレンドホーム」の里親は、児童養護施設に申請をして認められると
子どもを預かることができるんです。
でも、子どもにとっては、期間限定で過ごすというのはどうなんでしょうか?
気になって「至誠学園」の高橋さんに聞いてみると、
「家庭というイメージをフレンドホームを通して出来ているんだろうと思います。
長く付き合っている家庭の例では、父親像や母親像を
イメージしているのではないかと思う。」
とおっしゃっていました。
子どもを育てるという意味では、児童養護施設の環境は一定水準、整っています。
ただ、集団で生活しているため、
子どもたちが「家庭」を感じるのはなかなか難しいんだそうです。
週末や学校の休日というと「短い」と思う方も多いかもしれませんが、
短い期間でも、何年も続けることで、子どもたちも
「家庭」を感じることができるということなんです。
実際受け入れているご家庭はどんな考えなんでしょうか?
中学1年生の男の子を受け入れている東京都の職員、
鷺谷信二さん円さんご夫婦にうかがったところ、
「野球が好きな子なので、バッティングセンターに連れて行くとか、
時々、企画して北海道に旅行したり。
心がけている事は本人はどう思っているかは別にして、
少しでもホッとできるような自分の居場所が彼にとって持てたらと。
時々電話をくれて何々が欲しいとか、遊びに行きたいと電話をくれる。
いざという時の相談相手になっている。」
子どもの全部を背負うとなると大きな負担になるけれど、
ちょっとしたことで支えになるようなことをしてゆこうということですね。
さらに、鷺谷信二さんは、子どもを受け入れることについて、
中途半端だという思いは今でもある。親に変わる存在でいるならば
引き取って責任を持って接せられる。それが本人にも良いのかもしれない。
一方で、それを本人が望んでいるかわからない。我々の力量もある。
出来ない事をきれいごとでやろうと言っても長続きしない。
息切れするよりは細くでも長くでも続けられるのが大事かなと思って、
やれるところからと思ってやっている。」
と話してくださいました。
出来る範囲内でやってゆくということなんですね。
鷺谷さんのご家庭のように、至誠学園からのフレンドホームとして
子どもを預かっている家庭は現在5つあります。
そして今後の支援の在り方について至誠学園の高橋さんは、
「フレンドホームの広がりを得ていく必要もあるし、
子どもたちの権利擁護、1人の人間として育っていくという事では
単に保護者だけの問題ではなく、社会が育てるんだという様な思いで
みていくような社会作りも必要なのではないかと思います。」
と話されます。
この「フレンドホーム」は去年、東京都内で508家庭あって、
967人の子どもたちが「家庭生活」を経験しているそうです。
児童養護施設の環境をどんなに整備しても、
「家庭」のぬくもりを感じるとることは、なかなか難しい。
だからこそ期間が短くても繰り返すことで情緒面での支えになる、
こうした「フレンドホーム」の存在が必要だと思いました。
いろんな支援の仕方がありますが、この「フレンドホーム」も
大切な役割を担っていると思います。
関連情報・お問い合わせ先
- 至誠学園
http://shiseigakuen.org/