今日はTBSラジオの澤田大樹記者が、工夫を凝らす介護の現場を取材しました。
まず取材したのはレクリエーションにマージャンを取り入れたデイサービスです。
今回は2つの施設を取材したんですが、まず、最初に取材したのは
板橋区にある「夢楽 志村坂下」という施設です。
ここのデイサービスではマージャンだけでなく、囲碁や将棋も楽しめるんです。
そして利用者のほとんどを男性が占めているんです。
通常デイサービスというのは女性が8割なんです。すると、
そこで行なわれるレクリエーションも「ちぎり絵」や「塗り絵」など、
どうしても女性向けのものになってしまいます。
そうすると男性が中に入れず、デイサービスから足が遠のいてしまうんです。
そこでマージャンや囲碁なんです。
マージャンや碁を楽しめるデイサービスはあまりなかったので
この施設は去年の7月にオープンすると、たった4ヶ月で
130人の定員がいっぱいになったそうです。
利用者の話を聞くと、やっぱり喜んでいるようです。
「碁をやりたくても相手がいなくちゃ話にならない。下手な碁でも相手になってくれているから碁をやって相手を負かして最高でしょ」
「ここは他と違って頭の体操があるから良いと思いますけどね」
「ひとりじゃない」というところが、いいんですね。
更にマージャンや囲碁は、頭と同時に指先を使うことで
リハビリにもなるということです。実際この日も手が不自由な方が
将棋の駒を持ち熱心に将棋を打つ様子が見られました。
また、こういったレクリエーションがあることで、リハビリや運動も
積極的に取り組むことができているそうです。
体も思うように動かなくなりますし、どうやったら積極的に動けるか
ということが大事になってきますね。
次に取材したのはレクリエーションに歌や楽器演奏をつかっている老人ホーム、
練馬区にあるニチイホーム練馬高野台です。
歌や楽器というと、そんなに珍しくはない印象ですよね?
この施設では、「音楽療法」の理論を使ったレクリエーションが
行なわれています。「音楽療法」とは音楽を聴いたり、演奏したりすることで
心や体の健康を回復しようというプログラムです。
歌うのは童謡などだけでなく、若かったころの歌をリクエストしてもらうなど、
飽きないように工夫しています。
このほかにもレクリエーションにはこんな効果があるようなんです。
ニチイホーム練馬高野台の丹野陽一さんのお話です。
「口を動かすことによって、唾液が出る舌が回る、そういったことで高齢者に見られがちなものの飲み込みの悪さというものが改善されたりしまして、高齢者で一番問題になる誤嚥性の肺炎、こういうものの予防にも効果があります。また、認知症であったり、言葉が出ない障害の方。そういう方が昔を思い出すのか歌を聞いているうちに、口が動き出す。そして声となって、歌声となって歌が歌えるようになる。そこから話せるようになるという実例もある。」
積極的になるだけでなく、認知症の人や言語障害の人にも効果があるんですね。
ここでは合唱のようにただ歌うだけでなく、毎朝体操にあわせて歌ったり
楽器を使ったりしています。
先ほどのゴンドラの歌の伴奏をしていた90歳の女性は80年ぶりにピアノを
弾いたそうです。実は脳梗塞の後遺症で指が動かないそうなんですが、
昔を思い出しながら一生懸命演奏していました。
レクリエーションを終えた後の利用者の感想です。
「やっぱり昔懐かしい歌というかね、そういうのを歌うというのは楽しいですよね。」
「とっても懐かしくてよみがえってくる感じがしてみんなと仲良くこういう風にやれるということは幸せだと思っております。歌好きだから。」
やはり歌が気持ちを良い方向に変えてくれるんですね。
みなさん、歌を歌いながら表情が変わっていく様子が見て取れました。
歌やマージャンといったレクリエーションを、心や体の機能回復に
つなげようということですが、何よりも「楽しみ」がないといけない、
こうした工夫が大切なんですね。
関連情報・お問い合わせ先
- ニチイホーム 練馬高野台
http://www.nichii-home.jp/shisetsu/area/tokyo/nerimatakanodai.html
- 夢楽 志村坂下
http://www.yumeraku.net/simura.html