担当:清水栄志
今日の話題は旅行についてです。
電通総研が今年のボーナスの使い途を調査したところ
3割が「国内旅行につかう」と回答しているくらいですから、
やっぱり旅行には根強い人気があります。
そんな中でも今日取り上げるのは、
体の不自由な人向けの旅行なんです。
旅行を企画している会社『クラブツーリズム』の
バリアフリー旅行センター支店長の渕山知弘さんにお話を伺ったところ、
「日帰りのバス旅行、国内旅行、南米やアフリカなどの
海外旅行まで案内している。ハード面でのバリアフリーというのは
ホテルや観光地、トイレの問題などに配慮した旅行をベースにしている。」
とおっしゃっていました。
さらに、この渕山さんは
「例えば、車いすで一人暮らしの方が旅行に行きたいが
参加できない状況で助けがあれば行けるという時に、
トラベルサポーターという制度を設けていて、
元々クラブツーリズムの会員の一般のお客さんの中で
ヘルパー2級以上の資格を持った方々に登録してもらっていて
トラベルサポーターは250人以上いるが、
こういう方々のサポートがあって1人参加の方でも旅行に参加できる。」と教えてくれました。
一般の利用客の人なので、旅行代金は支払って参加いるんです。
ただ、例えば海外旅行の場合だと、旅行費用の3割程度の負担なんです。
介助が必要な人の手伝いをしてもらいながら、
旅行を一緒に楽しんでもらうということなんです。
この体の不自由な人向けの旅行の費用は、一般的なツアーに比べると1、5倍〜2倍します。
ただ、これは体が不自由だからという理由で代金が高い訳ではなく、
少人数のツアーにして、サポート態勢を整えるための価格設定だそうです。
それでも人気があるようで、利用者は5年前の2倍も増えているという事です。
一方で、受け入れる側の取り組みも進んでいます。
体の不自由な人を受け入れる宿泊施設などに指導を行っている組織
日本バリアフリー観光推進機構の理事長、中村元さんは、
「障害のある方や高齢者、体の不自由な皆さんをお客さんとして
受け入れたいという気持ちになるかならないかという話。
お金がなくてスロープが作れないというところでも構わない。
受け入れたいという気持ちがあれば指導する。
手作りでスロープ作りましょうとか、段差があるところでも、
何度通っても嫌な顔せず持ち上げるからと言ってもらったらそれで充分。」とおっしゃいます。
体の不自由な人をどのように迎えれば良いのか、ということを知らない受け入れ先が
まだまだ多いんです。
また受け入れたいけれど設備がきちんとしていないから
無理だと決めつけてしまうところも多いそうなんです。
また具体的な例として、中村さんは
「バリアフリー化した旅館で、露天風呂が4、5つある。
その1つを完全にバリアフリー化した。すると誰もそこを使わない。
手すりだらけで、介護施設のお風呂になってしまっている。
旅館に手すりがあったら興ざめ。最低限の手すりを付けたり、
手すり代わりのものを付ける。
そうやっていくと障害者の方には一生懸命やろうという気持ちが芽生え、
1年も経つと一般のお客さんからも凄くおもてなしの心があると
評判が良くなってくる。」とおっしゃっていました。
お客さんとの接点をおろそかにしてしまったのでは、お客さんは喜んでくれない。
体の不自由な人を受け入れる心がけがきちんとしていれば、
ほかのお客さんにも喜ばれる施設になるのではないかと仰っていました。
旅先というと、とかく「豪華な施設」「豪華な料理」という方に注目しがちですが
どう「気持ちよく」利用できるかが大事で
「気持ちよく」利用できれば体の不自由にかかわらず、
リピーターも増えてゆくと感じました。
関連情報・お問い合わせ先
- クラブツーリズム
http://www.club-t.com/
- 日本バリアフリー観光推進機構
http://barifuri.jp/portal/page/jbfspo.html