担当 山崎景子
今日は楽器の話題です。
まな板を1周りほど大きくした「縦長の板」。(カーブして右上が若干短い)
その表側に弦が25本張られていて、裏側には足が一本あって、
写真立てのように机に置けるようになっています。
『ヘルマンハープ』という楽器です。
ドイツの農場主で「ヘルマン・フェー」という人がダウン症の息子のために
10年間工夫に工夫を重ねて1987年に完成。この形になったんです。
開発者の名前をとって「ヘルマンハープ」と呼ばれています。
8年前にドイツの「介護の見本市」で見かけて日本へ持ち帰った
日本ヘルマンハープ協会の理事長
梶原千沙都さんはこう話しています。
普通、五線譜を頭の中に置き換えて、今度体に情報を伝えていく訳ですよね。
そこが今まで障害者の方が取り組んでいて、なかなか難しいなと
言う所であったと思います。
それで、ヘルマンハープ専用の楽譜を
開発したんです。五線譜が読めなくても演奏していける
そんな素晴らしい楽器なんです。
専用の楽譜をヘルマンハープに挟んで弾くようになっているんです。
楽譜に横長の丸がバラバラに書いてあります。
黒と白がありますが、黒が一拍、白が二拍を表しています。
これを板と弦の間に挟むと、弦と丸が重なる部分が出てきます。
そこを上から順番に、指で弾いていくと、メロディになるんです。
今、全国に180ほどヘルマンハープの教室があるそうです。
その中の一つ、東京・千代田区の知的障害者のサークル
「ヘルマンハープちよだ」にお邪魔しました。保護者の方に話を聞きました。
★学校では合奏の時間があったけど、メロディーを弾かせてもらえない
というか、
五線譜が読めないので皆と一緒にって難しかったんですよね。
本当に簡単なところしかできなかったのが、ヘルマンハープに出会って
から
「メロディーが弾けるんだ」と思ってすごく感動したんですね。
★力強さは自閉なのでわりと得意なんですけど、デリケートな楽器なので
最初に触るときに壊しちゃわないかなという気持ちがあったんですけど、繊細がゆえに本人たちも、
繊細に触ることを学ぶっていうのが、
親が想像していなかった素晴らしいことだと思います。
「弾ける喜び」があるし、「弾けること」で成長があるんですね。
また今では「高齢者」の間でも愛好者が増えているそうです。
日本ヘルマンハープ協会の梶原さんは、障害の有無・年齢関係なく誰でも楽しめる「バリアフリーな楽器」と話しています。
バリアフリーって障害者が引けるからバリアフリーっということだけじゃなくて、
これを健常者がするでしょ?
そしたらダウン症とか、障害とか全然今まで
縁のなかった方もダウン症ってなんだろうとか、
ふって頭が行くわけなんですよね。
楽器とのご縁をもって、健常者の気持ちを障害者にちょっと向けてくださる、
いいことだなと嬉しいなと思っています。
ヘルマンハープを弾くことで、障がい者との間の段差をなくせるという効果が期待できる。
だから「バリアフリーな楽器」ということになんですね。
また「障害者専用の楽器を障害者が弾く」のではなくて、
「みんなが演奏する楽器を障害者も弾ける」というのも
ヘルマンハープの良さなんですと 梶原さんは話していました。
ご興味のある方は「日本ヘルマンハープ協会」のホームページを
ご覧下さい。
障がい者専用ということでなくて、誰もが楽しめるというところがいいですね。
関連リンク・問い合わせ先
- 千代田区のサークル「ヘルマンハープちよだ」
TEL:03−3264−2111(千代田区・文化スポーツ課まで)
- 日本ヘルマンハープ協会
http://www.hermannharp.com/
TEL:0798−61−9953