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地元の障害者福祉団体が都立高校でパンやお弁当を販売
放送日:2012年05月05日
担当:岡本祥子
今日は東京都日野市にある、都立日野高校で新学期から始まったある「こと」を取材しました。
4月下旬の昼休み。中庭の売店にはたくさんの生徒が集まり、
クリームパンやチョココルネなど、パンがどんどん売れていきました。
この高校でパンを売っていることが今日の話題。
実はパンを売っているのは地元、日野市内にある障害者福祉団体なんです。
施設で手造りしたパンやお弁当を売っているんです。
この日はパンの日で、用意していた15種類のパン、150食が
あっという間に売れてしまいました。
パンのほかにもお弁当も売っていて、市内の3つの団体が
昼休みを利用して中庭で販売しています。
それまでは民間の業者が販売をしていたんですが
変わったきっかけを、都立日野高校、経営企画室長の新井麻由美さんに伺いました。
『きっかけは3月の初めの頃に、その業者の社長さんが突然いらっしゃって、
来週から販売ができなくなりました。というご挨拶に見えたので、
いや、どうしようかということころで。日野市のホームページとかを
何の気なしに見ている中で、市役所で障害者さんがお弁当を販売しているというような、
ほんの数行の文字があったので、相談したんですね。』
これは福祉団体や市からの提案ではなくて、たまたま見つけたということなんです。
日野市では、市内の障害福祉施設が連携をして、
仕事の開発や共同販売を取り組んでいる事業を6年前から始めています。
市内の大手企業などと提携した実績などがあるため、
この話は相談があってからなんと半日、本当に「スピード」決定したそうです。
一方、日野高校も「奉仕」という授業で、地元の特別支援学校の生徒と日頃から
関わっているという下地があるため、すんなり受け入れることができたようです。
実際にパンを買った生徒たちからは
『すごく美味しくて安くて、変わってよかった。』という声がたくさんあがっていました。
これは作る側、売る側はやる気が出てきますよね。
菓子パンが100円。調理パンは150円ですから確かに安いです。
また新井さんも
『生徒たちはまったく意識していないと思うんです。
たぶんその販売のやりとりの中で障害を持たれている方だというのは
わかると思うんですけど、だからと言って障害者の方と対応する時に
こうしなきゃいけないという考えはまったくなく。
理想的な状況になっていると思います。』と話していました
また取材した日にパンを売っていた女性が
『楽しいです。パンを笑顔で頑張って売ります。』
と嬉しそうに話していたのも印象的でした。
パンやお弁当づくりには30人ほどが関わっているそうなんですが、
このうち週2回パンの販売を担当している
「あおいとり日野」の副施設長 井上純司さんはこう話します。
『いらっしゃいませとかありがとうございますとか、本当に壁がないというか
本当に心からそういう風に皆さんが携わってくださっていますし。
皆さんモチベーションを持ってよく働いてくださっています。
こういう障害者の施設がふれあう機会ってないと思うんですね。
そういうところで、こういうパンを販売するですとか、
作っているんだということが生徒さんに伝われば、それはいいことかなと思います。
販売も順調で、障害者団体としては、安定した収入源が1つ増えたことで、
製造や販売に関わる人たちへの収入アップにつながっているそうです。
といっても先月から始まったばかりですから、これから売れる商品の傾向を分析して、
より学生のニーズに合った商品を開発していきたいと、とても意欲的でした。
たまたま見つけた情報で広がった生徒たちの昼休みの楽しみ。
「偶然」って、こんな広がりもつくるんですね。
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