担当：清水栄志


今日は、小学校や中学校の先生たちの心の悩みについてです。
文部科学省が２年前に発表した調査結果では、
病気を理由に休職している先生の数は8,899人。
そのうち精神的な病気で休職している人は
およそ5,400人と全体の6割にのぼります。

こうした中、埼玉県・川口市では数年前から
先生の心の病への対策を始めています。
川口市教育委員会　学務課　教職員係長の阿部ひろゆきさんはに
お話しを伺うと、
「平成１９年に川口市市内の先生方の中から、 　メンタル面で休職を取る方がピークになった。
　統計では３７人。そこで、カウンセラーさんにお話して
　当時は週に２回、カウンセリングを行ってもらった。」
と仰っていました。

川口市では、週に２回のペースで１人のカウンセラーが
市内にある８０校近い学校を１校ずつ回ったんだそうです。

カウンセラーの土井一博さんは、
「自分という人間をまず知って頂くために、
　時間の空いている時に話をきいて回った。
　最初は抵抗感を感じる先生がいたが、今はウェルカム。
　２年間ぐらいかけて学校周りをした。」
との事。
通い続けて５年経った今では、かなり受け入れてもらい
週に５日、学校を訪問して先生達の話を聞き続けています。
具体的には子どもとの関係が最も多い悩みなんですが
例えば、先生自身には何も非がないのに、
誤った先生の噂が生徒、保護者から
周辺に住んでいる住民の方々に口伝いで広がって、
その結果、先生がその学校にいられなくなってしまう
といったケースもあったそうです。
自分の力ではどうにもならないことによるストレスが
ほかの職業に比べて多いということです。

そんな悩みをどうやって解決していくのか？
土井さんは、
「カウンセリングというとその先生に正解をいわなければいけない
と思われがちだが、カウンセラーに相談する事で、
自分で気づいたりして帰っていくというのが現実。」
と教えて下さいました。

川口市教育委員会の取り組みや、土井さんなどの
カウンセラーさんの力もあって、
心の病で休職する先生の数は年々減っているそうです。
さらに土井さんは、
「先生のメンタル予防もあるが、その事が全部子どもに返っていく。
　最終的にはこどもの健全な人格育成などに返っていく。
　そういう視点を大事にしながらやっていきたい。」
現在川口市では土井さんのほか、
女性のカウンセラーが１人の合わせて２人だけなんです。
学校の先生に対するカウンセリングの体制を整えている自治体は
まだ少ないのが現状なんです。
まだまだ時間もかかりそうだし、課題もありそうですが
こうしたカウンセリングの環境を整える必要があると感じました。