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目を使わないでプレーする!「ブラインドサッカー」
放送日:2012年02月25日
担当:安井 衣里
「ブラインドサッカー」という目の不自由な方がプレーするサッカーを取材しました。
パラリンピックの正式種目の1つにもなっています。
ルールは、1チーム5人制のフットサルが基になっていて、4人のフィールドプレーヤーと、ゴールキーパーからなります。選手以外に、監督と「コーラー」と呼ばれる人がいて、試合中、声で選手に指示を出します。
全盲のクラスでは弱視の選手も参加するので、視力の差を公平にするために、ピッチ内ではゴールキーパー以外の選手はアイマスクを着けます。また、ボールを取りに行く選手は、「ボイ」と声を出さなければなりません。スペイン語で「行くよ」という意味で、衝突するのを避けるためのルールとなっています。
ボールの中には特殊な鈴が入っていて「シャカシャカ」という音がします。この音を頼りに選手はプレーします。
通常、人は情報の7割を視覚から得ていると言われています。その情報の7割が遮断されている訳ですから、とにかく試合を有利に展開するためには、チームメイトとの「コミュニケーション」と「信頼関係」が何よりも重要なスポーツです。
1980年代初頭に開発されヨーロッパ、南米を中心に広くプレーされてきたブラインドサッカーですが、日本に入ってきたきっかけについて、日本ブラインドサッカー協会理事の井口さんは、こう話しています。
「2002年に日韓ワールドカップがある時に、韓国の方で実は視覚障害者サッカーがあると、視察に行こうと、で視察に行ったら、なんだ!と今までにやってないサッカーが日本でやってないサッカーが韓国で繰り広げられていると、是非これを日本の方でも広めていこうということで、日本に取り入れられたと。」
今では、日本選手権が開かれるようになって参加チームは毎年およそ10チームあります。
地域大会も「関東リーグ」「関西リーグ」「東北・北信越リーグ」「九州リーグ」と4つの地域に分けられています。
先日、さいたま市で開かれた「ブラインドサッカー」の体験会では、子どもから大人まで多くの方が参加していました。
この体験会でブラインドサッカーを初めて体験された方は、こんな話をしていました。
(女性)「本当に見えないので、音と足にこう当たる感触だけで、前に行かなきゃいけないのが、難しかったですね。」
(男性)「声だったり、耳で聞いて、やっぱりいろいろ情報とれるから、こういうのは普通のサッカーやってるときもいいこと、すごい大事かなぁと感じました。」
(女性)「実際に目をつぶってやってみると、ボールの中に音が入ってるって知ってたんですけど、なんかどこになるのかなぁとか、周りの音もするんで、思ったよりあまり大きくなくて、けっこう大変でした。」
私も体験してきたのですが、正直、最初は「怖かった」です。でも、周りの人の声や音を聞いて、イマジネーションを膨らませながらゲームをつくっていくのが、段々「面白い!」と感じるようになりました。
企業の社員研修などにも取り入れられている「ブラインドサッカー」ですが、
体験会について、日本ブラインドサッカー協会理事の井口さんは、「ブラインドサッカーをすることで、日常生活や仕事の場で使えるコミュニケーション力であるとか、またはそれが進んでいくと、チームビルディングであるとか、普段、気がつきにくい何かを、皆さんに気付いていただければ嬉しいです。」と話していました。
視覚障害者も健常者も同じ条件、同じフィールドでプレー出来る「ブラインドサッカー」。
選手は現在、約400人が活躍していて、体験会にはこれまでに5000人以上が参加したということです。
日頃、目に頼っていることが、いかに大きいかに気づくことが出来て、更にコミュニケーションの大切さにも気づくことが出来て、スポーツとしても楽しめる。意外といろんな発見ができるかも知れません。
尚2月26日(日)に、「ブラインドサッカー」のデモンストレーションや体験できるイベントがあります。
「東京大マラソン祭り」のイベントの一つとして行われます。
会場の「東京臨海広域防災公園」へは、りんかい線 国際展示場駅から徒歩4分。
ゆりかもめ 有明駅から徒歩2分です。
【問い合わせ】
日本ブラインドサッカー協会
東京都新宿区百人町1-23-7新宿酒販会館4階
電話03−6908−8907
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