担当:楠葉絵美
今回は「発達障害」についてです。
発達障害にはいろいろあって、
「自閉症」「アスペルガー症候群」「ADHD=注意欠陥・多動性障害」など
ひと言に発達障害と言っても、人それぞれ違います。
ただ共通しているのは「コミュニケーションをとることが苦手」という点なんです。
先日、東京都内で開かれた「発達障害」に悩む人たちの会
【イイトコサガシ】を取材しました。
会には発達障害の方、その家族、発達障害を学ぶ学生、支援者など
誰でも参加出来ます。
集まっているのは20歳以上の大人です。
発達障害は子供だけではなく、大人でも悩む人が増えていて
「会社で人間関係がうまくいかない」など
医療機関への相談が年々増えているんだそうです。
私が取材した日は13人が集まっていました。
集まった方たちは、まず輪になって簡単な自己紹介をします。
そしてこんなことを始めました。
『ラーメンの具と言えば・・・せーの! チャーシュー!
日本で山と言えば・・・せーの! 富士山!』
これは、多くの人が持つあるもののイメージとは何か、
つまり大多数の意見をせーので言うのです。
発達障害に悩む方たちは、物事に対して独自の見方を持っているので
自分の意見ではなく、周りの意見を予想して答えるということをしていたんです。
【イイトコサガシ】代表の冠地情(かんち じょう)さんの話です。
『発達障害の人って独特な感性、ユニークな感性があるので
共感してもらえないことがあるんですね。
共感よりもむしろ「え?なんでそう思っちゃうの?」みたいな感じで
仲間はずれのような状況に追い込まれやすいので、
そうすると自分の話をしたくなくなって、コミュニケーション自体とらなくなる。
発達障害の特性を理解するための最初のスタートとして
批判・助言ではなくて、出来てないところを言われるのではなくて
イイトコサガシからスタートするっていう、そういう場があれば
当事者も前向きになれるし、一番良いと思ったんです。』
会の名前の通り、【イイトコサガシ】良いところを探そうということなんです。
他にもコミュニケーション能力を向上させるために
「あるテーマ」について2人が5分間会話をし、
周りで聞いていた人たちが感想を言うというものがあります。
この時、ルールがいくつかあり、
会話をする2人は「自分ばかりが話さないように、お互いが相手に話を振るように努める」
目安として、最低、質問2回、相手の話を受け止める=共感2回します。
話を聞いていた人たちも、感想を言う時、批判・アドバイスではなく
「良かったところ」を伝えるんです。
参加していた人に話を聞きました。
男性『決められたルールがあるので安心感があるんです。
ここにいるとちゃんと話してもちゃんと受け止めてくれる人たちがいるっていう
安心感があるので、それが良くて何度も来ています。』
女性『空気がすごく優しいというか、周りが当事者がいるっていうことを前提にしているので
やっぱり一般社会とは違うっていうのはありますね。
批判とかがないっていうのはすごく居心地が良いと思います。』
「相手の話を聞いて良いところを探す」
簡単なようで、難しいんです。
私も実際に体験してみたのですが、人と会話するのに
あんなに相手を想って丁寧に会話したことは初めてで、
思った以上に難しかったです。
【イイトコサガシ】代表の冠地さんご自身も、数年前に発達障害という診断を受けた経験があって
「良い所を褒めてもらうって本当に想像以上に嬉しい!褒める側もやってみると楽しいんです」
と話していました。
そしてこんなことも話していました。
『コミュニケーションに苦手意識のある人が、楽しい時間を感じてみたいって思った時に
自分の住んでいるすぐそばに、そういう場所が定期的にある環境を作りたいです。
だって発達障害の一番難しい部分って、コミュニケーションが苦手で
経験がつめなくて社会と解離していくっていう、それなんですもん。』
【イイトコサガシ】の活動は2009年から始まり
今まで全国25都道府県、2年間で180回以上、今日ご紹介したような会を開いています。
これまでに1800人以上が参加したそうです。
今後も定期的に開いていく予定ですが、冠地さんは
「自分以外の人でこうした活動をする人が出てきたら嬉しい」と話していました。
今回は発達障害に悩む人たち向けの会ということでしたが、
普段当たり前に交わしている「会話」がいかに大切かということを改めて感じました。
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- イイトコサガシ
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