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高齢者あんしん協力店
放送日:2011年10月29日
担当:岡本祥子
今回は認知症の人たちを地域で支えようという試み、
板橋区のお店や事業所を登録する制度「高齢者あんしん協力店」を紹介しました。
「高齢者あんしん協力店」にはお店の人が「認知症サポーター」という役割を持っています。
この「認知症サポーター」は、認知症について正しい知識を持って、
自分のできる範囲で認知症の人達を手助けするボランティアで
板橋区では区が主催する養成講座を受けるとなることができます。
商店主や事業主が「認知症サポーター」になると「認知症サポーターがお手伝いします!」と書かれた
専用のステッカーを店先に貼ります。
どんな対応をしているのか、一年前から「高齢者あんしん協力店」に登録している、
仲宿商店街のお肉屋さんと洋品店のご主人にお話を伺うと
『同じ品物をちょくちょく買いに来ると、
「おばあちゃん昨日買ったよハム。今日は肉の方がいいんじゃない?」とか
もう顔がみんな知れてますから。わかります』や
『お財布の中に細かいお金が入っているかどうかちゃんと優しくきいてやるというようなね。』
と、認知症の人たちは同じことを繰り返してしまうことが多いので、
「きのうハム買ったよ」というように接したり
場合によってはご家族に連絡するということもしているそうです
また、話しかける時は「その人の目の高さと同じ目線で話をする」というような細かな気遣いもしています
これは、できそうで、なかなか出来ることではないと感じたのでですが
もともと、この仲宿商店街は古くからある商店街で、
お年寄りに対する心配りや声がけというのは今までやってきたことなので、
難しいことはなかったそうなんです。
ただ、「認知症サポーター」の講座を受けたことで、より深く自信を持って対応できるようになったそうなんです。
また、板橋区にはケアマネージャーや社会福祉士、保健師さんが相談を受ける
「お年寄り相談センター」があって、協力店が困ったときには支援をしてくれます。
この協力店と相談センターのつながりについて、
板橋区おとしより保健福祉センターの中山初代さんは
『お年寄り相談センターの方は、「あんしん協力店」に声をかけやすいとかそういったことを聞いてます。
なかなか街の店のお店1コ1コには、声をかけにくいというのがあるので。
やはり、介護の仕事とか介護の事業所だけじゃなくて、こういった街の方たちも
認知症の理解を深めるというところでは良かったなという声は聞いています。』
と話していました。
認知症の人たちに対する理解をどう広めてゆくか、その広がりに「あんしん協力店」が一翼を担っている訳なんですね。
実際、店を訪れるお客さんにも、その「広がり」があるようで、
『声をかけていただけるというのはやっぱりありがたいことですよね。
やはり、家族だけの生活と他人の方と接する機会があるのとだと、随分違うと思うんですね。』
『印象はいいですよね。自分とは関係なくてもお年寄りがいると、
もし何かがあったらよくないかなと気になっちゃいますけど、
リーダーになってくれる人がいれば、
自分もその人に従えばいいわけですし、それなら安心していられます。』
という声が商店街のお客さんからありました。
このようにお客さんが目撃して、
「広がり」=言い換えれば「理解の輪」が更に広がるという効果もあり、中山さんは
『周りの人がちょっと冷たい目で見たり、変わった人だと見たり、というのを
すごく認知症の人はわかるはずだと思うんですね。そういうところをきちっと理解していただいて、
自分もいつなってもおかしくない。だからこそ温かい目で見ていただく。
より身近なところの方たちが、認知症や高齢者の方たちの見守り役にもなって
いただけるという意味ではより進んでいけばいいのかなと思います。』と
この理解の輪がとても大切だと話していました。
何もしなくてもいい、だけれど、まず理解する。理解できる場を作ることがいかに大切かということは
認知症に限らず、いろんな事柄に共通することだなと感じました。
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