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人形劇で防災訓練
放送日:2011年06月25日
担当:楠葉絵美
今回は「人形劇で防災を伝える活動」をしている方達を取材しました。
人形劇を演じているのは、練馬区にある【心のあかりを灯す会】です。
メンバーは現在50人。
練馬区に住んでいるお母さん達が、練馬区と一緒に活動しています。
私が取材でお邪魔したのは、練馬区にある「田柄保育園」です。
3歳から5歳の園児50人が、防災訓練の一環として
避難訓練をした後に人形劇を観ていました。
演目は「森の地震ハウス」と言って、
子供達が森にある地震ハウスへ行き、揺れを体験するというものです。
人形も小道具も全て手作り。
地震ハウスの中にはタンスや机が置いてあります。
地震ハウスがガタガタと大きく揺れた後、
固定していなかったタンスが倒れます。
人形の1人が下敷きになってしまいました。
すると、子供達から「救急車を呼ばなきゃ」という声が聞こえてきます。
みんな人形劇に入り込んでいました。
観終わった子供達に感想を聞くと、
まず一言目に「楽しかった!」と話してくれました。
防災訓練が楽しい?
少し不思議ですが、これが大切なことなんです。
楽しい記憶は子供達の中にしっかりと残るから、
防災訓練も楽しくして、大切なことを覚えてもらおうということだそうです。
楽しいだけではなく、
人形劇を観ると「頭の守り方」「助けの呼び方」などがわかるようになっていました。
1人の女の子が【心のあかりを灯す会】のメンバーのところへ来て、
『大切なことを教えてくれてありがとう』と言いました。
他に、今まで子供達からもらった感想について、
【心のあかりを灯す会】代表の鈴木裕子さんに聞きました。
『今までは、先生に言われて何も考えずに過ごしていたのが、
どうして訓練をしなきゃいけないのか意味がわかったという感想や
小学校4年生くらいの子には、自分の命を守るためにやってるってこと、今まで気がつかなかったけれど初めてわかりましたって。
とてもやりがいを感じています。』
対象年齢は3歳から小学校まで。
人形劇の他に紙芝居もあって、年齢に合わせてメニューを決めます。
小さい子に対しても、1つ1つの行動にちゃんと理由をつけて説明します。
例えば、ただ「頭に手を乗せて!」じゃなく、
「頭が大事だから・・・」と言ったり。
わかりやすく工夫して作った人形劇は、
子供だけではなく大人にも影響を与えているようです。
一緒に人形劇を観ていた田柄保育園の先生達に話を聞きました。
『普通の避難訓練ですと、集まって防災頭巾をかぶって・・・
なかなかそこから広がらない部分があったけど、こういう訓練も大事だなって
気付きの場になりました。
人形が出てきて、やっぱり視覚で入ってくるもののほうが
わかりやすいし記憶に残っていくと思うので、参考にしたいです。』
大人も気付く点が多いようです。
代表の鈴木さんは、地域の防災訓練で参加者が少ない場合、
子供を介して行うと、わかりやすいし、大人も楽しく参加してもらえると話していました。
子供達が家に帰って、両親に「今日こんな劇を観たよ!」と話をするだけでも
この防災訓練は大成功!だそうです。
【心のあかりを灯す会】に参加しているお母さんは、
こんな話もしていました。
『最初は自分とは関係ないことというか、自分の子供は自分が守れれば良いと思っていた。
会に参加して、他の学校の子供達やそれを守っている大人達をだんだん意識するようになって
「ああ、これはやらなきゃいけない活動なんだ」と思いました。』
観る側だけじゃなく、演じる側にも影響があるんですね。
この【心のあかりを灯す会】では、依頼があれば練馬区以外にも行きます。
しかし、代表の鈴木さんは
練馬区としてだけではなく、多くの地域で、たくさんの人で
やっていけるようになれば一番だと話していました。
それぞれの区でこうした団体が増えてくれると、
子供の防災意識も高まるし、地域の繋がりも出来ますね。
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