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杉並区の「長寿応援ポイント」制度
放送日:2010年11月13日
今回は杉並区の「長寿応援ポイント」の制度を中村愛美が取材しました。
この「長寿応援ポイント」というのは、東京・杉並区が1年前から始めた制度で、高齢者がボランティアやグループ活動などをすると、商品券と交換できるシールがもらえます。
60歳以上の区民で、区が認定した介護施設のボランティアや安全パトロールなどの「地域貢献活動」を1時間以上行うと、5の数字が書いてあるシール、5ポイントが渡されます。
ポイントは、1ポイント50円分に換算され、その8割は、区内で使える商品券と交換できます。残りの2割はボランティア団体などの助成に使うため寄付されます。
取材で訪れた介護施設「永福ふれあいの家」では、和やかな雰囲気で利用者と話しているボランティアの姿がありました。週2回、書道や貼り絵を教えている藤井幸雄さんと杉江美代子さんは次のように話しています。
★藤井さん:お手伝いすると嬉しそうな顔をする方が多くて嬉しいです。自分の気持ちにも反映してきますから。
★杉江さん:教えるというより、場所を賑やかしたり、くだらないことを言って皆さんを笑わせるだけです。ここへ来れば皆さんとできて楽しいしね。
藤井さんも杉江さんも80歳代で、利用者の方たちと同年代です。気持ちが通じ合って、良いコミュニケーションがとれて助かっていると施設の方もおっしゃっていました。藤井さんたちも利用者の方からパワーをもらっているそうです。
お二人とも10年ほどボランティアを続けていますが、1年前から始まったポイント制度で、せっかく商品券と交換できるのなら、商店街でお肉を買ったり、お孫さんに何かプレゼントしようかな、と嬉しそうでした。
杉並区高齢者施策課の和久井義久さんは、ポイントを区の商品券に交換することで、地域の商店街の活性化にもつながってほしいと話します。
また杉並区の場合は、このポイント制度の活動範囲を大幅に広げたところに特徴があります。
和久井さんは、その理由を次のように話しています。
★高齢者の方が元気で暮らしていただきたいという視点から、そういう支援ができる仕組みはないかと考えました。
ボランティア活動のポイント制度は前から他の団体でも行っていて、ただそこに課題が1つあって、あまり広がらないんです。
幅広く高齢者の外出や活動を支援していこうということで、いわゆる「いきがいの活動」まで広げました。
「いきがいの活動」とは、ダンスやコーラス、囲碁など、「趣味」の活動です。5人以上の団体で区に活動登録をして、75歳以上のメンバーの方には1回の活動で1ポイントのシールが渡されます。
その1つ、ゴールドピンポンクラブという卓球クラブを取材しました。
毎回ポイントを配る係りでメンバーの金子秋男さんのお話です。
★私自身のいきがい活動でもあるし、長生きの秘訣でもあるかな。皆さんの面倒を見ることで、私自身も元気をもらっています。皆さんにシールを配って、私も元気をいただいて、お互い長生きしようじゃないかというのが、私どもの趣旨です。
いきがい活動は、何か楽しみに張り合いをもたなきゃいけないですね。ポイントをもらえるってことが、楽しいです。金額じゃなくて集めることを楽しみにしてます。みんなせっせと貯めてます。
金子さんたちは、シールがたまっていくことが、自分たちが頑張っている証に思えるそうです。
また、周りに目を配ることが多くなって、出てこない人がいると体調崩したかな?と心配になって電話をするなど、お互いの見守りにもつながっています。
制度が始まってから1年が経ちますが、区が認定して活動している団体は、すでに1000を超えています。
こうしたポイント制度は、各地の自治体で広がっていますが、外に出る機会をふやして付き合いの輪を広げる、その手助けになっていくことを今後も期待します。
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