知的障害者が高齢者施設で演劇の公演をするということでTBSラジオの澤田大樹記者が取材しました。
取材に行ったのは知的障害者授産施設の板橋区立蓮根福祉園です。
ここでは知的障害を持った方々がお菓子の箱作りなどの作業をしてるんですが、
クラブ活動として演劇クラブがあるんです。
今回お芝居をしたのはその演劇クラブに所属する20代〜30代の利用者10人と
顧問1人の合わせて11人です。
それだけでなくて、お芝居デリバリーまりまりというプロの俳優集団の役者さん3人が
事前に稽古をつけたり、本番では音響をしたりして裏方として舞台を支えています。
プロに演劇の指導を受けるきっかけについて、
当日は役者として出演していた演劇クラブ顧問の黒石力さんは
「蓮根福祉園にまりまりさんに公演に来ていただいたのが顔合わせのきっかけになって、
昨年度から演劇クラブが指導を受けるようになった」と語っていました。
はじめは、たまに施設に来て演劇クラブの稽古を見て指導するだけだったそうですが、稽古を見るうちに外に出て公演しようという話になったそうなんです。
「稽古を見ているうちに演劇クラブの担当の方とちょっとずつ親しくなっていって話すようになったら
その担当の方がすごい熱い人で、できれば外に持って行きたいと。
なぜかというと、施設は地域社会の中で環境的には閉ざされたものだし、
ここにこういう人たちが勤めて生きてるっていうのをちょっとずつでも
広められたらなという話を聴いたのでそれだったらもっと稽古して
持っていこうよということになって、公演するために今年になってから動き出した」と
「お芝居デリバリーまりまり」の鎌田貴嗣さんは話します。
演劇クラブの練習は月に2回行われていて、そのうち1回は「まりまり」のメンバーが演技指導をします。
10月29日に、演劇クラブは、蓮根福祉園を運営する社会福祉法人が
運営している板橋区立蓮根高齢者在宅サービスセンターで公演しました。
この日演じたのは、ウクライナの民話を元にした「てぶくろ」というお話です。
利用者がウサギやブタ、クマなど動物に扮して演じ、ソーラン踊りやフラダンスを
踊るなどバラエティに富んだ舞台でした。
当日演劇を見たお客さんは「心温まる話で楽しめてよかった。
皆さん一生懸命練習しているので
発表しているのをもっと知って欲しい」と話していました。
また、当日演じた演劇クラブ員は「おばあちゃん役やるとき緊張したんですけど、
皆さんが見てくれてうれしかったです」と嬉しそうに話していました。
顧問の黒石さんによると、「演劇を通して、利用者が日頃の作業では見られない
自分自身を表現する姿を見られる」とのことでした。
「今回初めて施設の外で公演したわけですが、少しずつでも外に外に、幼稚園、保育園とか
小学校とかあらゆる年齢の人に見てもらいたい」と「まりまり」の鎌田さんは語ります。
さらに、「できれば理想は、他の知的障害者の施設でも、「蓮根でそんなことやってるんだ、
うちでもやってみよう」みたいな感じで、どんどんどんどんどんどん日本全国に
広がっていったらいいな・・・」とも語っていて夢は広がります。
知的障害者に対する垣根を、演劇を通してどんどん取り払っていってほしいですね。
関連情報・お問い合わせ先
- お芝居デリバリーまりまり
http://white.ap.teacup.com/marimari/