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全国から障害者自主生産品を集めたお店
放送日:2010年10月30日
担当:波岡陽子
伺ったのは、JR阿佐ヶ谷駅ガード下に先月オープンしたばかりの
セレクトショップ「賑やかな風」
高知県からはグアバを無農薬で育てて作ったジュース、
他にも、北は北海道の無農薬、有機栽培で育てたトマトジュースや、
南は沖縄のサトウキビだけで作った黒糖などが売っています。
実はこれ、全て、全国の障害者福祉施設で作られたもの。
食べもの以外にも、
京都からは、陶器でできた、歯ブラシ置き、長野からは、くつ紐、など、食べ物以外のものもあるんです。
商品は、一種類ずつ県名や施設名がかかれているポップがついていて、
どこで作られているものなのかが分かりやすく並べられています。
全国の福祉施設で作った物を、集めてる店のはめずらしく、
なぜこうした店を開こうと思ったか、「にぎやかな風」の店長、
茶谷恒治(ちゃたに・こうじ)さんに伺いました。
★茶谷さん:
福祉施設がどういったものを作っているのか気になって、出向いたり、電話して商品を取り寄せたり色々確かめてみた。
すると、山の方はいい木工製品を作っていたり、海のほうだと、おいしい干物を作ったり。
でも山の方で木工製品を作っても売れない。だとしたら東京で売るのが一番いいだろうと思った。海のものも海の近くで売るよりは東京で売った方が、価値をわかってくれる人が多いんではないかと思った。
しかし、
実際に、茶谷さんが施設の方に話をすると、数を確保するのが難しいということで、最初反応はあまり良くなかったようです。
ですが、茶谷さんは、福祉施設の商品が、
手間隙をかけて作られているので、品質が良いという点に気づいて、東京で売れば、商品の価値がお客さんを通じて上がっていく
と思ったんだそう。そして、全国の福祉施設に電話をかけたり、直接現地に出向いて、説得して、今回、店のオープンとなったわけです。今は、お店に240種類もの商品があって、目標は倍の500種類だそうです。
この「にぎやかな風」に、地元の農産物を使って、レトルトのカレー、その名も「手しごとカレー」を
出している、長野県の福祉施設、第二コムハウス主任の
岡田健次(おかだ・けんじ)さんはこう話します。
★岡田さん:
県外は茶谷さんの「にぎやかな風」さんのみ。茶谷さんがやっているような「にぎやかな風」みたいな所は、僕の知っている限りはない。そこから広がっていったらありがたい。僕ら自身も、障害者の方も、東京で売ってるというだけで、自信につながる。
作っている人が自信を持てば、商品の質もさらにあがります。お店には、そうした良い商品を目当てにして、多いときには一日200人のお客さんが来ます。反応もいいようです。
★子供連れのお母さん:
よく来ます。今日は天然酵母のパンと、乾燥梅を買いました。
主人がここでライブをさせていただいて、それがきっかけ。
無農薬のものや、体に健康にいいものを中心に集めているので、
子供も小さいし、安心して利用させてもらってます。
★91歳のおばあちゃま:
ここはゆっくりできるの。
私家帰っても誰もいないから。
少しの寄付だと思って、買いますよ。
店内は、喫茶スペースもありますし、時にはライブスペースとしても使うことができます。こうして、お客さんの横のつながりを増やすことも、商品の売り上げにつながり、売り上げが良くなれば、作っている人の生活もさらに良くなると茶谷さんは考えているんです。茶谷さんはこう話していました。
★茶谷さん:
たくさん商品を売って、たくさん福祉施設に利益を出してほしい。
個人的にはお給料と言うのは、どれだけのお給料の額がもらえたかで、どれだけ社会に対して手をつないで言ったかっていう数の成績表ではないかと私自身は思ってます。
手間隙かけて商品を作るのも「人」、その価値を分かって買うのも「人」、それをどうつなぐのか、茶谷さんの挑戦はまだ始まったばかりだと言えそうです。
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