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新宿区大久保の韓国料理店が立ち並ぶ通り沿いにある「文化センター・アリラン」 |
東京・新宿区の大久保は韓国料理や韓国のスターのグッズを売っている店がたくさんある街です。その大久保に2010年7月、埼玉県の川口市にあった「文化センター・アリラン」が移転してきました。
「文化センター・アリラン」は朝鮮半島関連の文献や資料約4万点を所蔵しています。在日韓国・朝鮮人の人権運動に関わる貴重な資料もあって、朝鮮半島の歴史の研究や文化の交流の場となってきました。元々、在日2世の男性が私財を投じ、自宅を改造して開いたものですが、この男性が亡くなったこともあり、さらなる発展を目指して、都心に場所を移すことになったんです。
これまでは、研究者の利用が多かった「文化センター・アリラン」ですが、運営するNPOの副理事長で在日2世の宋富子さんは「ここでは日本人は日本人、朝鮮人は朝鮮人、といった垣根を作らず、皆が出会って色んな発想がぶつかり合いながら、親しくなって信頼を作り、歴史を知ることによってお互いが尊敬できる場が生まれる。そういう楽しい場にしたいと思います」と話します。
韓国料理店の並ぶ職安通りを歩いて行くと、「在日と日本人の出会いの場」という看板が見えてきます。朝鮮半島ではお祝いに使う、青と赤と黄色で書かれているので、よく目立ちます。
「文化センター・アリラン」はそのビルの8階にあります。中に入ると、壁には朝鮮半島関連の本や資料がぎっしり詰まっています。
これまでの資料や本に加え、移転をきっかけに、朝鮮半島の歴史を子供向けに分かりやすく解説してある本や、童話の絵本、紙芝居なども揃えました。子供向けの読み聞かせ会も企画しているそうです。
「韓流ドラマがきっかけで、大久保に来た方にも是非寄ってもらって、在日の存在に目を向けるきっかけにしてほしい」と宋さんは話します。
山崎景子・情報キャスターが取材した日は、机やいすを端に寄せ、韓国舞踊の教室が開かれていました。教えるのは在日2世の金順子さん。生徒さんの一人は「踊りを通して時代背景や作法など、韓国の歴史や日本との関係も勉強ができます」と話していました。
また、別の生徒さんは、いま流行の韓国ドラマをテレビで見ていて、背景に映る伝統芸能や楽器などに興味を持ったということです。その女性は「日本は韓流ブームで、韓国に目がいっていますけど、身近に暮らしている在日の方々に余りにも目を向けなさすぎたな、と思います。韓流ブームを良いきっかけにして交流がもっともっとできれば良いな、と思います」と話していました。
この他、言葉の教室もありますし、在日のアーティストの演奏や歌と組み合わせた講演会なども企画されています。
宋富子さんたちがボランティアで運営しているこの「文化センター・アリラン」。入館料は200円ですが、年会費を払って会員になれば、いつでも無料で利用できるということです。
関連情報・お問い合わせ先
- 文化センター・アリラン
http://www.arirang.or.jp/