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「アイヌ感謝祭」は横浜市港北区のスペース・オルタで開かれた。 |
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ムックリ(口琴)の教室 |
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オハウにシトなどアイヌ伝統の 食文化も楽しめた。 |
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インタビューに答えるアイヌウタリ連絡会の宇 梶静江代表 |
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ステージに首都圏のアイヌ民族の力が結集された。 |
横浜市港北区の「スペース・オルタ」で6月13日(日)、日本の先住民族アイヌの文化への理解を深めてもらおうというイベント「アイヌ感謝祭」が開かれました。主催は首都圏のアイヌ民族の4つの団体で作る「アイヌウタリ連絡会」です。
首都圏には、少なく見ても5千人とも1万人とも言われるアイヌ民族が暮らしています。先住民族への差別や、それによる貧しさから東京周辺に移り住んできた人も多いんです。
「感謝祭」の日はまず、会場近くの川の河原でカムイノミという神に祈る儀式を行いました。この地の自然=神々に、ここで「感謝祭」をさせていただきます、見守ってください、とアイヌの伝統に則って、あいさつをしたんです。
会場では様々な講座が開かれました。ムックリ(口琴)にリムセ(踊り)、アイヌ文様の木彫りや刺繍の教室などです。
ムックリの教室では、皆さんなかなかうまく音が出せないようでしたが、出ないなりに楽しんでいるようで、「楽器と自分の身体を共鳴させているところが面白い」という男性や「難しいど、音が鳴るととても嬉しいです」と話す女性もいました。
この日はアイヌ料理のお店も出ました。「オハウ」(汁鹿肉)に、色々な材料で作ったシト(お団子)。取材した崎山敏也記者もオハウや昆布のシト、コンブシトをいただきましたが、素材を生かした味にすっかり満足しながら、アイヌの智恵や自然への思い、その一端に触れたような気がしていました。
アイヌウタリ連絡会の代表、宇梶静江さんは、身と心に受け継いできた伝統について、「自然を神として生きてきた民族ですから、大地があれば、生きていけます。その大地を生かしながら、伝統をつないでいこうということです。そして、和人の皆さんにも、先住民の精神文化なり伝統文化なりを取り入れていただいて、理解し合って、この国が生きやすい国になりますようにと」と話していました。
「感謝祭」の後半は首都圏のアイヌ民族総出で、伝統的な歌や踊り、それにムックリやトンコリという弦楽器の演奏が披露されました。また、ジャズシンガーの熊谷たみ子さんが名曲「アメージング・グレース」をアイヌ語で歌い上げました。
それから、小さな姉妹がステージに登場して、アイヌ語に変えた「崖の上のポニョ」を歌い、拍手喝采。文化が受け継がれていく様を感じさせました。
日本列島の先住民族として、長い年月の間、育まれてきたアイヌの文化はこういう新しい形や伝統的な形など、様々に受け継がれています。アイヌウタリ連絡会代表の宇梶さんは、「アイヌが民族の文化を伝えて行く場を首都圏に作りたいので、皆さんも協力してください」と訴えていました。
首都圏のアイヌの力を結集して開いたこの「アイヌ感謝祭」、来年以降も続けてゆきたいということでした。
関連情報・お問い合わせ先
- アイヌウタリ連絡会
http://ameblo.jp/ainu-utari-renrakukai