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「CHECK YOUR LOVE」 |
東京・八王子市の保健所が発行したエイズ予防啓発の冊子「CHECK YOUR LOVE」。編集したのは市内にある大学や専門学校の学生たちです。
八王子市内には大学や専門学校が多く、保健所は普段から、学生の協力も得て、若者向けの性教育やエイズ予防の啓発活動を行っています。冊子作りもその一つで、「若者にいかに検査を受けてもらうか」をテーマに、およそ10人の学生が2009年の8月から15回の話し合いを重ねました。
「CHECK YOUR LOVE」では、HIV=エイズウイルスや、エイズについての基礎知識、予防のためのコンドームの付け方、東京都のHIV感染者やエイズ患者の現状などが図などもうまく使って、わかりやすく説明されています。
参加した一人、拓殖大学4年の齊藤誠さんは、「手にとって読んでもらうために、シンプルで見やすく、でもより情報は伝えられるように、ということを心がけました」と話します。
また、この冊子の文章には、彼氏、彼女という表現はなく、「パートナー」という表現が使われています。拓殖大学4年の猪熊寛之さんは「都内の感染の現状を知った時、異性間より同性間の接触による感染が増えていることが印象に残った」ということで、異性愛者が読んでも同性愛者が読んでも違和感がないように工夫したそうです。
完成したのは2010年の3月で、市内の19の大学や専門学校に配られました。
東京工業高専2年の林裕志さんは「冊子を読んで、自分は気をつけよう、と思うだけでなく、自分のパートナーに対しても、知ってもらうことが大事だと思います。パートナーにエイズの話をしてみたり、検査に行ってみたり、といった行動につながると嬉しいです」と話していました。
また、拓殖大学では新入生の健康診断の会場に置いてあったそうです。猪熊さんは、「自由に持って行ってください、という形だったんですけれども、行き交う人がみんなこれを持っているのを見ると、自分たち頑張って良かったな、という実感がすごいありました」と話していました。
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インタビュー に答えた学生さん達。左から林さん、齊藤さん、猪熊さん |
学生たちは文章の内容やデザインを考える時、内容をより良くしようと、ミーティングだけでなく、専門の相談機関を訪れたり、HIVの感染者にも会って様々なアドバイスを受けました。活動を振り返って、齊藤さんは「参加する前は、HIVウイルスに感染してしまうと、イコール死とか苦しい生活が待っているのかなあって、すごく思っていたんですが、HIVウイルスに感染しても、発症しない人もいればする人もいる、発症してもきちんとした治療をすれば、普通の生活が送れる、ということがわかったのが、一番大きな勉強でした」と話していました。
「CHECK YOUR LOVE」は今後も学園祭シーズンなどに八王子市保健所と学生たちによる活動の中で 活用される予定だということです。
八王子市保健所では毎週水曜日の午後1時半から4時半まで、エイズに関する検査を実施しています。検査は無料で匿名でも受け付けているので、「気軽に検査に来て下さい」ということでした。
検査や冊子についての問い合わせは八王子市保健所(042・645・5111)まで。