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自立支援講座「話します自分の仕事のこと」 |
2010年の3月28日、東京・北区の滝野川会館小ホールで、NPO法人「勉強レストランそうなんだ!!」が「話します自分の仕事のこと」というイベントを開き、崎山敏也記者が取材しました。「勉強レストランそうなんだ!!」では、知的障害のある子供に色々工夫して勉強を教えている他、「大人になっても、学び続けてほしい」と、自立を支援する様々な講座を開いています。「話します自分の仕事のこと」もその一つです。
この日は男性と女性が1人づつ、自分の仕事について、約70人の参加者を前に話しました。22歳の男性は株式会社「くもんサービス」の千葉県内の事業所で、印刷に関わる仕事に就いています。「くもんサービス」では公文式の教材を印刷していますが、教材のプリントなどに汚れがないか、のり付けはちゃんとされているか、など、最終的なチェック=「検品」をするのが主な仕事です。
この日はまず、仕事中の様子や、母親や一緒に働く人たちの声などを紹介するビデオが上映されました。仕事を始めた頃は作業をこなすのが難しかったそうですが、4年たった今は色々な作業ができるようになっています。検品の他にも、積み上げたプリントにラップを巻いて梱包したり、運んだりする仕事も今はしています。指導をしてきた同じ職場の女性がインタビューに答えて、「知的障害だからこれはできなくていい、というのはないんです。人それぞれ伸び方が違うので、みんなと同じ伸び方をしないのは問題ではないんです」と話していました。できるようになった仕事は信頼して任せているし、職場の後輩にきちんと教えることもできます。職場ではもう少し難しい仕事へのチャレンジも考えているようです。
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講座では、 仕事の現場の様子などを紹介するDVDも上映されました。 |
ビデオ上映の後、男性が前に立って、自分の仕事について話しました。一日のスケジュール、仕事の内容、仕事の難しさ、やりがい、会社の行事に楽しく参加していること等々………。仕事に取り組む姿勢や、職場の雰囲気が伝わってきました。最後は「仕事は大変だけど、やりがいがあって楽しいです。これからずっとくもんサービスで仕事をしたいと思っています」という言葉で締めました。
会場に来ていたお母さんは「本人も頑張ったけど、職場に育ててもらっている面がすごく大きいんです。『障害があるから、仕方ないよね』という言葉が全くなく、特別扱いされなかったことがすごく大きかったんです」と話していました。
また、指導をした女性も会場で話をしました。最初の頃は、あいさつや身だしなみについて厳しく指導した、ということです。「怖い存在かもしれませんが、きょうは怖いことは言わないです」と話し始めたこの女性によると、「一緒に働いていて、毎日、学ぶことがたくさんある」ということです。朝のラジオ体操をちゃんとやり、時間をきちんと守り、休日を有効に使うこと……等々。「ほんとに素敵な社会人の見本です」と話していました。
参加者の中からは「障害のある人も、職場の人たちも、お互い学び合って育っていくんだなあと感じました」という声があがっていました。
この日は、杉並区内の大型シューズ店で働く27歳の女性も自分の仕事について話し、女性が職場に定着するまで支援した「ワークサポート杉並」の担当者も話をしました。障害のある人が働くために本人に必要なことや、周りがどう関わればいいか、色々な話があって、質問も活発に出ていました。
最後にNPO法人「勉強レストランそうなんだ!!」の福喜多理事長が「年齢とか障害とか関係なく学べる場を地域に作る取り組みを続けて行きたい」と話し、イベントは終わりました。2010年4月から始まる2010年度も、様々な自立支援講座を予定しているということです。
関連情報・お問い合わせ先
- NPO法人「勉強レストランそうなんだ!!」
http://www.so-nanda.com/