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漢語角はこれを目印に。 |
日曜日の昼下がり、東京・豊島区の「西池袋公園」では中国語で会話を楽しむ集まりが開かれています。
この集まり、中国語では「星期日漢語角」。日曜日の中国語のコーナーといった意味です。中国では、英語とかフランス語とか日本語とか、公園で外国語を学ぶ交流サークル「○語角」をよく見かけるそうですが、その池袋版というわけです。
毎週日曜日の午後2時から5時まで、「星期日漢語角」と書かれたのぼりを目印に公園に集まって、自由に交流します。予約はいりませんし、会費もありません。その時間、その場所に行けばいいんです。
崎山敏也記者が取材した日は、あいにくの曇り空でしたが、だんだん人が増え、最終的には20人近くになりました。
中国語を勉強中という30代の会社員の男性は「学校では先生は日本語混じりですが、ここは生の中国語をがんがんしゃべってくれるし、旅行の情報や中国の文化について知ることができるので楽しいです」と話します。中国旅行が好きだという60代の男性は「退職して、時間があるので、ほとんど毎週来ています。いろいろな人生経験を持った人、様々な分野の人と話が聞けるので、いいですね」と話していました。
また、中国語の初心者でも参加できるので、この日初めてという大学生の男性は、習ったばかりの中国語で早速、自己紹介をしていました。
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第112回漢語角。 |
年齢も職業も話題も様々。語学の予習を助けてもらったり、上海の旅行事情を色々聞いたり、中国語に翻訳された日本のマンガを持ってきた人がいて、その話題で盛り上がったり。
日本人と結婚して、子育てしながら働いているという上海出身の女性は「ふだんは中国語をしゃべる機会がないので、ここに来ると情報交換もできますし、日本語で色々な人と話せるのもとても魅力的です」と話していました。
最近中国人向けの店が増えている池袋に買い物に来たという中国人の女性2人組も、声をかけられて初めて「漢語角」に加わりました。3ヶ月前に来日したばかりということですが、早速日本語で自己紹介。日本語を直してもらいながら、拍手で迎えられました。
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漢語角を始めた段躍中さん。 |
この「漢語角」を始めたのは、中国・湖南省出身の段躍中さんです。18年前に来日し、現在は、日本僑報社の編集長として、在日中国人向けの情報誌や、日中関係の本などを編集・出版しています。
日本に住む中国人は60万人を超えていますが、まだまだお互いに誤解もあって、日中関係がぎくしゃくすることもあります。自身住んでいて、愛着がある池袋の街に何か貢献しようと思った時、中国によくある「○語角」という方法で、日中の交流を広げていこう、と段さんは2年前に「漢語角」を始めました。
段さんは「中国人が隣の日本人と、日本人が隣に住んでいる中国人と、どのくらい直接コミュニケーションしているか、というと、まだまだ足りないと思うんです。中国人も日本人も顔を合わせて交流すれば、いろいろな問題が解決できると思います。『漢語角』を活用してくれたらすごく嬉しいです」と話していました。
2007年の8月に始まり、段さんやボランティアの努力あって続いてきた「漢語角」。
100回目の今年8月には、去年の四川大地震で、国際緊急援助隊の団長を勤めた小泉崇さんらがゲストに呼ばれ、盛大に祝ったそうです。また、「埼玉漢語角」も今年8月から始まりました。
段さんは「日本のあちこちに漢語角のような集まりが生まれてほしいし、韓国人でもアメリカ人でも何人でもその輪に加わればいいですね」と話していました。
関連情報・お問い合わせ先
- 星期日漢語角
http://hyj.duan.jp/