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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

生活困窮者の葬送を支援する

放送日:2009年09月12日
5月に四十九日の合同法要が行われた「たまゆら」の火災現場(以下、合同法要の写真は「葬送支援ネットワーク」提供)
5月に四十九日の合同法要が行われた「たまゆら」の火災現場
(以下、合同法要の写真は「葬送支援ネットワーク」提供)
今年3月、群馬県渋川市の老人施設「たまゆら」で起きた火災で、生活保護を受けていた10人の高齢者が犠牲になりました。東京・墨田区の紹介で入所して、亡くなったのは6人。そのうち3人は遺骨の引き取り手もいませんでした。
「誰も弔う人がいないのは寂しすぎる」と、貧困問題に取り組むNPOが中心になって5月6日、火災の現場で10人の方の四十九日の合同法要が営まれました。NPOの関係者や近所の人が参列しましたが、親族の姿はありませんでした。
合同法要でお経をあげた僧侶の一人が、宗派を超えた僧侶のグループ「寺ネット・サンガ」の代表をつとめる中下大樹さんです。中下さんは「こういう現場で亡くなった方は、死後しばらく身元すらわからなかった、という現実があるわけです。そういう社会にどうしてなってしまったのか、ということをあらためて感じました」と話します。

四十九日の合同法要
四十九日の合同法要
そこで、中下さんは法要と前後して、何か社会的な運動につなげようと考え、「葬送支援ネットワーク」を作りました。中下さんと、同じく「たまゆら」の法要でお経をあげた平久江剛志さんが共同代表をつとめています。
平久江さんは霊柩車の会社を経営していて、様々な死を見てきました。母子家庭で、母親が生活苦から自殺し、子供だけが残されたり。亡くなってみたら本当にお金がなくて、火葬にする費用さえ、捻出することがなかなかできなかったり。そういう場合、最低限の葬儀は、亡くなった方を棺に入れて、自宅や病院から直接火葬場に運び、焼いてお骨にするだけです。「お花もないし、遺影もない。位牌もない。ただ、人知れず亡くなられて、いつのまにかお骨にされて埋葬される、というのは、葬儀の『葬』の部分であって、『儀』が何にもつかないわけです」と平久江さんは話します。
例えば自殺の場合、火葬だけで済ますケースがほとんどなので、平久江さんはこれまでも、希望があれば、ボランティアで読経に行ったこともあります。また、低価格でこじんまりとした葬儀だけど、きちんと心のこもった「葬儀」を行う、葬祭関係者のボランティア団体「志聖会」の活動にも代表として取り組んできました。

合同法要では平久江剛志さん、中下大樹さんたちが読経した
合同法要では平久江剛志さん、中下大樹さんたちが読経した
中下さんも同じような活動に取り組んできました。中下さんはホスピスに勤めていた時、宗教関係なく、様々な患者の最後を看取りました。亡くなるまでは接点を持てなかった方でも、「最後ぐらいはお経ぐらいあげてほしい」と、家族から真夜中に呼ばれることもあり、あらためて「最後の別れの時間」の必要性を感じたそうです。
中下さんは新宿のホームレス支援の活動に加わっています。生活保護を受けていると、およそ20万円の費用は自治体から出ますが、「火葬のみ」です。生活保護を受けていて、身寄りがない元ホームレスの男性が亡くなった時は、ホームレスの仲間約30人と共に火葬場に行き、手作りの位牌を用意して、お花を手向け、中下さんがお経を読みました。「病院から直に火葬場に行って、すぐ焼くのではなく、30分程度のお別れの時間ですけれど、ワンクッションを置いて、みんなで手を合わせて送るということができただけでもよかったと思います」と中下さんは話します。

インタビューに答える平久江さん(右)、中下さん(左)
インタビューに答える平久江さん(右)、中下さん(左)
二人のこうした普段の活動の延長上に「葬送支援ネットワーク」があります。そして、状況や事情によって、最低限の葬儀のお金も足りない、どこからも出ない、という場合、二人の個人資金や「葬送支援ネットワーク」への寄付金の中から、最大で20万円を立て替え、その範囲で、遺影や位牌、お花をきちんと用意し、僧侶が読経します。平久江さんは「葬儀社やNPOの努力でできれば、私たちを頼らなくてもいいんです。ただどうしてもだめな場合は、頼ってください。葬送支援ネットワークは最後のセーフティネットです」と話します。

4月に発足してから、8月の時点までは、お金を立て替えたことはありません。ただ、孤独死は増え、路上で亡くなる人も減らず、自殺者も減る様子は見せていません。「棺に入れて、運んで火葬するだけ」=「直葬」という形が日本の社会に増えているのは、確かです。
取材した崎山敏也記者に中下さんは「葬儀については色々な考え方があると思うが、人間として尊厳のある葬送は誰でも受けられるべきだ、という考え方を理解してほしい」と話していました。また、「こういうネットワークが全国のあちこちに作られていかないと、本当の意味で機能するネットワークにはならないんです」と平久江さんは話していました。

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