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ボンボンアクセサリーを手にする岡本キャスター(表参道のイデアフレイムスで) |
福祉施設などでは障害者が様々なものを作っていますが、利益の出る商品を作って、
障害者の収入をあげるのは、なかなか難しいのが現状です。岡本祥子・情報キャスターが「企業が協力して売れる商品を作り、販路を広げる試み」を取材しました。
取材したのは、インテリア雑貨などの企画・販売をしている「イデアインターナショナル」と鎌倉市にある知的障害者の授産施設「工房ひしめき」です。
両者が協力して、去年の10月に売り出したのが「ボンボンアクセサリー」。毛糸のボンボンがついた指輪やストラップなどがあり、毛糸の部分はアパレルメーカーから出た端材を使っています。工房ひしめきの利用者が、端材の色や毛糸の種類など自由に選んで組み合わせて、一つ一つ手作りしました。
ボンボンアクセサリーを企画したイデアインターナショナル商品企画部の原田麻子さんの話では、最初は、商品にできないようなものがあるかもしれないというような心配もしていましたが、その心配は無用だったということです。「想像を超える個性を出していただいて、我々が計算をして作れないものというのがたくさん出てきて、初めて見た時、非常に驚きました」と話していました。
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新商品「PRINT PARTY」のカンバッジ |
イデアインターナショナルは、社会貢献として、生活や社会の必要性をデザインするブランド「YUEN`TO(ユエント)」を展開しています。その一環で、障害者の個性を生かした、そして収入アップにつながる商品を作りたい、と工房ひしめきに提案したんです。
「ボンボンアクセサリー」は表参道ヒルズにある直営店などで、2000円前後の値段で売られていますが、売れ行きは好調のようです。「私たちは授産品だから売れるものじゃなくて、そのもの自体が魅力を持ってユーザーに届けられるようなものを作ろう、とこの企画を立ち上げました。最初の頃、女の子たちがかわいい〜!!って言いながら、商品を見たり、自分にあうボンボンを探したりした後に、ボードを見てその商品の背景を知る、というような光景を見て、非常にうれしかったです」と原田さんは話していました。
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「工房ひしめき」を取材した時は桜が満開でした |
ボンボンアクセサリーの次の商品も生まれました。今回はプリント生地のブランドを展開する(株)リバティジャパンが端切れを提供、それを使って、工房ひしめきではかわいい「カンバッジ」を作りました。
岡本キャスターが鎌倉の工房ひしめきを訪れると、手芸作業の部屋で、カンバッジが作られていました。利用者が金属の部分に、布地を押し付けて、簡単な機械で貼り付けます。レバーで押すたびに、「ドン、ガチャン」と心地よい音が響きます。利用者は、職員に教えてもらいながら、最初はこわごわと、でも、要領がわかると、「もう一つ、もう一つ」と、積極的に、そして楽しく作業をしていました。
できあがったカンバッジは、4月23日から、イデアインターナショナルの直営店で販売されています。
ボンボンアクセサリーの時は、利用者に冬のボーナスを出すことができたそうですが、企業と連携することについて、施設長の林美代子さんは「商品の価値を表参道ヒルズで女の子達に買ってもらえるところまで持っていくのは私たちの力だけでは無理です。企業というのはアイデアと企画力と販売力が全部揃っていて、そこに、障害者の働くころを設けてもらったわけです」と話します。そして将来は、「常時こういう仕事があって、ボーナスではなく、毎月ごとの収入が少しでも上がることを期待しています」と話していました。
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新商品は4月から展示・販売されました |
もちろん林さんら施設の職員にはこれまでと違った苦労があります。利用者の方それぞれに作るペースがあるので、そのペースを守りながらも、企業側が決めた納品日に間に合わせる必要がありますし、商品ロスも少なくしなくてはなりません。大変ですが、障害者の自立につながる可能性を持っています。企業との連携は進んでいくかもしれません。
※工房ひしめきのカンバッジは、同じプリント生地を使ったトートバッグやブックカバーなどと共に、新商品「PRINT PARTY(プリント パーティ)」として、表参道ヒルズの「イデアフレイムス」で展示・販売されています。(トートバッグやブックカバーは、福井県の作業所で作られました)