 |
ウインク理事長の新川てるえさんにインタビュー |
吉原拓人記者が取材したのは千葉県の柏市にあるシングルマザーのための住宅です。離婚したばかりの段階では、経済的にまだ安定してなかったり、保証人がいなかったりと、シングルマザーは住居を探す際に大変苦労します。去年の3月にオープンしたこの住宅「マミーハウス」は保証人も敷金・礼金も必要ありません。
多い時で8組の母子が住んできました。
現在「マミーハウス」を運営しているのは、シングルマザーの仕事探しなどを支援してきた東京・新宿区のNPO法人「Wink」です。「ウインク」理事長の新川てるえさんは「子供とお母さんの二人きりの生活は孤独だと思うんです。一緒に住んでいる仲間がいて励まし合ったり、喧嘩もあるかもしれないけど、それも刺激になればまたいいのかな、と思うんです」と話します。
「マミーハウス」は2009年の2月までは、企業の社員寮だった建物を利用していました。光熱費などの管理費も含めて、月約5万5千円。プライバシーが保たれたそれぞれの部屋と共有スペースがあり、共有スペースのキッチンやリビングには冷蔵庫やテレビ、調理器具などが備えられています。また子供のために、おもちゃや小さな椅子なども用意してあります。
共同生活ではルール作りなどでもめたこともあったようですが、得られるものもあります。2009年2月当時、「マミーハウス」に入居していた、2歳のお子さんがいる女性に吉原記者が話を聞くと、すでにハウスを出た人でも、仲良くなった人とは今でも悩みを相談したり、子供同士遊ばせたりしているそうです。「最初は喧嘩とかありましたが、いろいろあった中で、すごく強い絆みたいなものが………。すごい頼りになる方なので、その方ともずっとつながっていられればいいかなと思います」と話していました。「マミーハウスがあったからこそ、たくさんの人と出会えた」とも話していました。
この女性は、まず住み始めて一ヶ月は、子供の保育所探し。そして、仕事を探しました。現在の職場は子供がいる女性に理解があって、「子どもが熱を出した時は心配して休ませてくれるし、残業をしないように配慮してくれる」そうで、生活は落ち着いてきています。
マミーハウスに入居期限はないのですが、収入が安定した仕事につけたこともあり、近い将来、出て行くことも考えているそうです。マミーハウスは、自立して生活するまでのステップになる場所なんです。
こういう取り組みは全国でもほとんどありません。そして、シングルマザーの支援にも不況の影響が及んでいます。子供がいるため、派遣など非正規雇用の仕事を選ばざるをえない方が多いので、「派遣切り」などの相談もウインクにけっこう来るそうです。
また、オープン当初からマミーハウスを運営していた企業が、不況の影響で年末で撤退しました。協力する立場だったウインクが運営を引き継ぎましたが、資金面で厳しい状況です。
それでも、運営を続けようと、ウインクでは賃貸料の負担を減らすため、マミーハウスを元社員寮から近くのアパートに移し、寄付など資金面での支援を呼びかけています。
また、住むだけでなく、ウインクがこれまで取り組んできた「仕事の支援」も取り入れた施設にしてゆきたいと考えています。
理事長の新川さんは「各地で真似して、同じような事業が立ち上がってほしいです。そのためのモデルケースになって、問題点が出たりした時も、私たちが教えたり、力添えできれば。そのためにも絶対に続けてゆきたい」と話していました。
マミーハウスへの入居や、シングルマザーの支援に関心のある方は、NPO法人「ウインク」のホームページを見るか、事務局 03-6685-9765(FAX)、info@npo-wink.org(Eメール)まで。
関連情報・お問い合わせ先
- NPO法人「ウインク」
http://www.npo-wink.org/