TBS RADIO 954 kHz TOPページへ ページの先頭です

土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

※こちらは「過去ページ」です。
新しい番組ページは「こちら」です。

土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

もっと詳しく

大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

もっと詳しく

●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

障害者の働く場を作る

放送日:2008年10月11日
北区神谷にある「ベーカリー&カフェ  azuki」
北区神谷にある「ベーカリー&カフェ azuki」
「障害があっても働ける社会」を目指す様々な取り組みはありますが、企業で雇用されている障害者はまだ多いとはいえません。授産施設や福祉作業所などでは、障害者が様々なものを作り、売っていますが、月1万、2万といった収入の所がまだ多く、自立が難しいのが現状です。
崎山敏也記者が「働く場が少ないのなら、自分で作ろう」と考え、お店を開いた方を取材しました。お店は、東京・北区のJR赤羽駅から歩いて10分ほどのところにある「ベーカリー&カフェ azuki」です。
美味しいパンと一緒に、コーヒーや紅茶、夜はワインなどを楽しんでもらおうというお店で、名前を「azuki(小豆)」にしたのは内装や家具、メニュー、食器などが和と洋を合わせたテイストだからだそうです。白が基調のおしゃれな作りで、静かな音楽が流れ、焼きたてのパンの香りが漂います。

現在は、2人の知的障害者を含む6人のスタッフが働いていますが、「障害者が働く店」といった表示や言葉はどこにもありません。「azuki」の経営者の大野貞子さんは「ちゃんとした商品の提供をしたかったんです。ちゃんと需要のあるものというか、普通のお客様がみて感動できるもの。この子たちが働いているからこういうお店なんです、と言うつもりはありません」と話します。
「azuki」のコンセプトは「人にやさしく」、そして「身体にやさしく」。天然酵母や国産の小麦を使った自慢のパンで勝負して、店が繁盛すれば障害者の働く場の確保、そして収入増、自立につながると考えたんです。

とはいっても、大野さんが「障害者が働く場を作ろう」と思った段階では、飲食店を経営した経験がなかったので、障害者が働くベーカリーで働きました。「azuki」の パン職人の方とはそこで知り合ったそうです。また、「福祉ベンチャーパートナーズ」という会社が開いている経営塾で実務などを学びました。ここでも起業家の知り合いができて、今は紅茶を仕入れているそうです。また北区の産業振興課に相談して、赤羽という地域で店を開くためのアドバイスを色々もらいました。こうやって、大野さんは経営のノウハウを身につけ、人脈を作ってきたんです。

「azuki」の店内
「azuki」の店内
「azuki」は開店して1年。今は特に宣伝はしていませんが、取材に訪れたお昼時はランチのセットなどをお目当てに、ご近所という感じの家族連れやカップルなどで賑わっていました。
厨房で洗い物などを担当している野沢理恵さんに感想を聞くと、「仕事は楽しいです。美味しいパンを買いに来て下さい」と話し、この日のオススメのパンを教えてくれました。野沢さんは基本は厨房担当ですが、大野さんの話では、お客さんに聴かれるとパンの説明も一生懸命するし、お年寄りがドアの前にいるとドアを開けてあげたりと、立派に戦力になっているそうです。大野さんは「何ができないかではなく、何ができるかを見つけることが大事です。チャンスを与えて、能力を引き出すようにしています」と話します。

また、主に接客を担当している田沼真歩さんは「働くとき大切なのは笑顔です!」と元気よく答えます。田沼さんは前も同じような形態の店で働いた経験はあるそうですが、「前できなかったことが少しずつできるようになってきました」と話していました。「一人一人にあった仕事の教え方も大事だし、どの子も、何か自分が役に立ちたい、という気持ちがあるので、それを汲んでいかないと」と大野さんは話します。

大野さんはまた、接客やパンの配達を通じて徐々に、彼女たちが働いている姿を地域の人に見てもらいたいと考えています。
大野さんが店を作るきっかけになったのは、公園デビューも一緒だった知り合いの方に知的障害を持つ子供がいたこと、そして、大野さんの娘さんも中途障害で車いす生活になったことです。大野さんの娘さんは自立して働いていますが、「うちの娘が障害を持つとは思いもよらなかったことでした。でも、誰にでもそういう可能性はあるんです。それでも働いて社会に出ていかなければならない、ということだけ、それだけは皆さんに分かってもらいたいんです」と話します。障害者は特別な存在ではないから、それぞれの能力を生かして働いている姿が当たり前になってほしいと考えているんです。
「障害者は戦力になるし、頑張れば利益もあげられる」ということがわかってもらえば、雇用の機会や収入が増えることにつながるでしょう。

「azuki」では現在月一回、地域に住む演奏家を招いて、美味しいパンとワインが味わえるミニコンサートを開いています。 大野さんはこういう機会をもっと増やして、「azuki」を地域の人に知ってもらい、繁盛させたい、と話していました。

ページトップへ