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板橋区の「赤ちゃんの駅」に掲げられている旗 |
東京・板橋区内のあちこちにある「赤ちゃんの駅」。赤ちゃんを連れて外出したお母さんが授乳やおむつ替えを気軽にできる場所で、区内の保育園や幼稚園、児童館などの中にあります。施設の一角がカーテンなどで仕切られ、ベビーベッドや授乳用の椅子、ミルク用のお湯などがある、赤ちゃんとお母さんのための専用スペースです。
「赤ちゃんの駅」は、ふだんお母さん達に接することが多い保育園や児童館の職員の提案から生まれました。「外出の時、おむつ替えとか授乳するところが、大きなスーパーとかデパートならありましたが、あまり街の中にはなかったので、そういう場所を提供したらどうかという提案でした」と板橋区子育て支援センターの沼俊一さんは説明します。
「赤ちゃんの駅」は設置されている建物の入り口に「赤ちゃんのイラストが描かれた旗」があって、目印になっています。
池田智子リポーターが、7ヶ月の娘がいる、区内の33歳のお母さんに話を聞くと、「区の制度であることは知らなかったけど、旗を見つけてよく利用している」ということです。
「ちょっと遠くの商店街で色々買いたい時は、赤ちゃんの駅に寄って授乳しては、買い物。買い物して、帰りにまた授乳、という感じです。行けばなんとかなるかな、というコンビニみたいな存在です」と話します。
外出先で子どもが機嫌が悪くなり、ちょっと休憩だけでもしたい時も助かるそうですし、授乳の場合、肌を露出するので気を遣いますが、「カーテンで仕切られているので、安心」だそうです。このお母さんのママ友達たちも「なにげなくみんな普通に使ってますよ」ということでした。
小さいうちは特にそうですが、子育てママの行動範囲というのは狭くなりがちです。買い物は決まった店ばかり。あとはほとんど家の中、というとついストレスもたまります。「赤ちゃんの駅」があると、赤ちゃんと一緒に安心して街に出られるようです。
子育て支援センターの沼さんは「保育士がいるので、簡単な育児相談に乗ることもできます。お母さん達の心強い存在を目指しています」と話していました。
板橋区の「赤ちゃんの駅」は原則、月から土の朝10時から夕方4時まで。区民ではなく、たまたま板橋区内を訪れている方でも利用できます。2年前に始めた時は84箇所だったんですが、私立の保育園なども加わって現在は125箇所で、今後も増やしていく予定だそうです。
今は板橋区の試みを参考にして、「赤ちゃんの駅」という名前ではありませんが、あちこちの自治体が授乳やおむつ替えのスペースを設置し始めています。
東京・足立区や埼玉県本庄市、神奈川県小田原市、他全国各地に広がっていますし、東京都では適した施設を認証するという方法もとっています。
こういうスペースが増えると、地域で子育てを応援しようという雰囲気が生まれ、住みやすい街になって行くかもしれません。