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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

障害者が作ったものを共同で販売するお店

放送日:2008年08月30日
青砥駅近くにある「+choice」
青砥駅近くにある「+choice」
各地の障害者が通う施設ではパンやお菓子、陶芸品やアクセサリーなど様々な製品が作られています。そして、施設の前で売られていたり、役所などの福祉コーナーに置いてあったり、お祭りなど地域のイベントに店が出たりしています。
丁寧に作られた良いものが多いんですが、手にとって買ってもらう機会が少ないと売り上げも伸びませんし、障害者の収入にもつながりません。そこで販売ルートを増やそうと、学校などにまとめて購入してもらうとかネットで販売するとか様々な試みが行われています。

東京・葛飾区内に2008年の7月、「+choice」(プラスチョイス)というお店がオープンしました。葛飾区の支援の下、区内にある13の知的障害者が通う施設が共同で作ったお店です。
13の施設は区内に散らばっていて、買いに行くには交通が不便な施設もあります。「+choice」は葛飾区のほぼ真ん中、京成線の青砥駅から徒歩5分という便利な場所にあります。バス通りから一本はいった車どおりの少ない道沿いにあって、「手作りパン」と手書きで書かれたかわいらしい看板が店の前に置かれています。


店内には様々な製品が並ぶ。奥にはイートインコーナーも
店内には様々な製品が並ぶ。奥にはイートインコーナーも
中に入ると、パンやクッキーやケーキ。ビーズ製品の携帯ストラップやアクセサリー、陶器のマグカップや手さげ袋などが所狭しと並べられています。中には葛飾区特産の小松菜をつかったものもありました。近くに住むという女性に吉原拓人記者が話を聴くと、「この間食パンを買ったら美味しかったので、また来ました」と答えてくれました。「前から施設の製品は知っていたけど、便利な場所にできたので、このお店に来るようになった 」という方もいるそうです。
取材したのは開店して2カ月近くたった頃で、お客さんも徐々に増えてきていました。「店にメロンパンを運んできた施設の方と、買いに来ている方がたまたまいて、『とてもおいしい』とお礼を言っていたり、『よかったです』と声を掛け合ったり…。商品だけじゃなくて作っている方の顔を見られて、声をかけて、障害者の方も自信となります。そういう交流もすごく大事だなと思っています」と店長の佐和佳恵さんは話します。地域にある施設の活動などを知るきっかけにもなりそうです。

「+choice」の「choice」には「選りすぐりのものを、お客さんに楽しみながら選んでもらう」という意味が込められています。そして、お店には「イートインコーナー」があります。そこが「プラス」です。お店で売っているパンやケーキが食べられる他、コーヒーや紅茶、そして軽食もあります。近くに勤めていて、毎週お昼の決まった時間にカレーを食べに来る方もいるそうです。お馴染みさんの中には、お目当ての施設のクッキーを買いに来たけど、並んでいるのを見ているうちに、他の施設のクッキーも買うようになったという方もいたそうです。色々なものが選べるんですね。

吉原記者のインタビューに答える。左から長田さん、山崎さん、佐和さん。
吉原記者のインタビューに答える。左から長田さん、山崎さん、佐和さん。
逆に言うと、あんぱんやクリームパン、メロンパンのような定番商品は施設同士がライバル。どんな様子なのか、スタッフの長田一人さんは「施設の方で集まって色んな話し合いをしている時に、最初はあんまり顔も合わせたこともなかったのでよそよそしい感じがあったんですけど、だんだん朝の搬入の時とかに顔を合わせるうちに、ちょっと仲間意識みたいなものが芽生えた気がします」と嬉しそうに話します。佐和さんは他の施設のパンを勉強のために買っていったりする姿を見かけるそうです。「+choice」の運営を区から委託されているNPO法人「未来空間ぽむぽむ」副理事の山崎厚子さんは「仲間だから相手が作っているものも食べてみて、自分の所に取り入れられたらいいな、という雰囲気がすごくいいですね」とそれに付け加えました。
吉原記者もパンを納品している施設の方たちにお話を聞いたんですが、他の施設のパンを食べて、「クリームパンじゃ勝てない。今度工場の見学をしにいってもいいですか?」といった声も聞かれました。お互いの刺激になって、よりよい商品が色々生まれそうです。

そして「+CHOICE」にはもう一つの役割があります。あまり外に出る機会もない、重度の障害者が通う施設の利用者がスタッフと一緒にお茶を飲みに来たり、買い物に来たりしています。佐和さんは「きょうも社会経験を積むっていうことで、お茶を飲んでいかれた方達がいます。施設と家との往復だけじゃなくて、仕事終わったときにホッとお茶を飲んで帰ったり、そういう場が利用者にあってもいいと思うんです」と話します。障害者の方にとっては社会勉強の場。お金を払ってお釣りをもらったり、その時レジの人と会話するだけでも、いい経験になります。障害が軽い人は、働くための訓練にもよいということで、取材した時期も、スタッフとして2人が佐和さんや長田さん達と一緒に働いていました。

社会経験も大事ですし、売り上げが増えてそれぞれの施設の利用者の収入が増えることも大切です。そして「+choice」は、利用者やスタッフ、地域の住民をつないでいく場にもなりそうです。運営が軌道に乗れば、佐和さん達はミニコンサートのようなイベントを開くことなども考えているそうです。