日本に住む外国人は年々増え、外国の食材を扱う店もよく見かけるようになりました。山崎景子・情報キャスターが訪ねたのは、外国人が多く住む川崎市川崎区の「カワヤン情報センター&サリサリストア(Kawayangroup&Sari-sari Store )」です。
フィリピン食材のお店で、「サリサリ」はタガログ語で「色々」という意味。2階建ての建物の1階に調味料やお菓子、缶詰などフィリピンの食材や日用品が所狭しと並んでいます。
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サリサリストアでサルビオさんにインタビューする山崎キャスター |
「サリサリストア」はフィリピン人の母親達のグループ「カワヤン(Kawayan)」が3年前に始めたもので、当時は遠くまで行かないとフィリピンの食材は買えなかったそうです。お店にはただ便利というだけでなく、「日本育ちの自分の子供たちに、ふるさとの料理を食べて欲しいし、ふるさとの文化を伝えてゆきたい」という母親達の思いも込められています。
最初は近くの桜本商店街にワゴン形式で出していたんですが、今年の3月、一軒家を借りて、2階を母親と子供たちが自由に使うことができる場所にしたんです。
「カワヤン」の代表、ローズマリー・サルビオさんは「お店だけではなく、居場所を作らないといけないと思ったんです。居場所があれば、簡単に相談できるし、簡単に友達ができますから」と説明します。母親達は日本人と同じように子育ての悩みを抱えています。日常会話は日本語でできても、例えば、赤ちゃんを病院に連れて行くと、医師の言葉がわからなかったりします。
また、入学の手続きの書類の記入の仕方がわからなかったり、通い始めても、学校からの「お知らせ」に書いてあることが読めなかったり。「居場所」に来れば、子育て情報を手に入れたり、子育ての先輩に自分の言葉で悩みを打ち明けたり、相談することができます。
山崎キャスターが訪ねた日は「少しでも日本語が上達したい」と、日本人の大学院生のボランティアを呼んで、勉強していました。皆さん日本語のレベルは様々ですが、お互いに教え合ったりして、冗談も言い合いながらの真剣かつ楽しい教室です。
日本で育った子供たちは学校で毎日日本語を使うし、友達もできるので、あっという間に上達して行きます。ある母親は「たまに私が何か言っても、子供が『え?ママ今何いったの?』と言うことがあります。発音が悪いですから。少しだけでも覚えないと、うまくちゃんと子供と話ができないんです。頑張る気持ちは100パーセントあります」と話してくれました。来日は10年前ですが、仕事が忙しくて勉強できず、また、仕事でもあまり言葉を使わないですんだため、なかなか日本語が上達しなかったそうです。この日は、「ひらがな」の書き取りを先生にほめられて、とても嬉しそうでした。
また勉強の前には、参加者が料理を一緒に作りました。この日は「ブランダン」という煮物で、皆さんふるさとの料理を食べてくつろいでいました。ある母親は「ここは来やすいです。一人だと誰もいなくて、どうしても寂しいけど、ここに来ると、みんないるからおしゃべりとかするし、いつの間にかストレス解消になっています。家帰ったら子供に優しくできるし」と話していました。勉強中、子供たちは子供たちで他の部屋で遊んでいました。
フィリピンの親子が楽しく過ごせる場所になっている「カワヤン情報センター&サリサリストア」ですが、サルビオさんたちは「フィリピン文化の発信の場にもしたい」と考えています。「最近は韓国の人とか、日本の人とか、少しづつ、ジュースとかおやつとか買いに来るようになりました。日本の中で生きていっているので、フィリピンだけじゃなく、みんなウェルカムです。みんなに来てほしいなっていう気持ちがものすごく大きいです」とサルビオさんは話します。
川崎区には歴史的に在日コリアンが多く住んでいますし、日系のブラジルやペルー、タイ、中国など様々な人が今では住んでいます。「サリサリストア」はいつか、様々な文化が行き交う場所になるかもしれません。