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「ぷらっとカフェ」近くの公園で |
平井麻枝子・情報キャスターが取材で訪れたのは横浜市都筑区の「おやこの広場 ぷらっとカフェ」。地域の子育て支援の拠点として設けられているもので、ふだんは子育て中のお母さん達が子供を遊ばせながら、育児情報を交換したり、育児の相談に来たりしています。その「ぷらっとカフェ」に春休みの期間中、子供達がボランティアで赤ちゃんと遊びに来ていたんです。
なぜ「赤ちゃんと遊ぶボランティア」なのか?「ぷらっとカフェ」を運営するNPO法人「りんぐりんく」事務局の谷田部博子さんはやって来るお母さん達を見ていて、このボランティアを思いついたそうです。
「ほんとに、自分の子供を産んでみて初めて赤ちゃんに触ったっていう方がすごく増えているんです。核家族だったり、自分自身もきょうだいがいなかったりっていう親が多いんです」と話します。そこで「赤ちゃんて可愛いんだな、こういう風なのが赤ちゃんなんだな、ってわかってから生んでもらえると、心構えができて、きっと子育てをもっともっと楽しくやってもらえるんじゃないか」と企画したそうです。つまり、ボランティアの子供達にとっては、将来のための大事な体験の場でもあるんです。
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すっかり仲良し |
平井キャスターが「ぷらっとカフェ」を訪れたのは新学期直前の4月2日。この日の午前中は、小学生から高校生までの6人が参加しました。
はじめに、赤ちゃんと遊ぶ時、例えば「首の座っていない赤ちゃんを抱っこしたい時に注意すること」などのレクチャーを受けてから、いよいよ、赤ちゃんとお母さんにご対面です。この日やってきたのは17人の赤ちゃんと、そのお母さん。しばらく室内で遊んだ後は、一緒に近くの公園に移動しました。
お母さんに赤ちゃんに、ボランティアの子供達。賑やかな一行を見て、「子供達が色んな年代の人に触れあうのはいいことですよね」と1人のお母さんが嬉しそうに話します。
一方、子供たちはちょっと戸惑い気味です。小学4年の男の子は「元気すぎてどっか行っちゃったりして、止まんないよ。お母さんは大変だな」と話します。高校1年の女の子は「ベビーカー押したの初めてです。意外とガタガタした」と率直な感想。小学3年の女の子は「赤ちゃんの気持ちをわかりたいから、自分が赤ちゃんになった気持ちになってみないと」と色々思案していました。
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平井キャスターもすっかりなじんでます。右は同行した崎山記者。 |
公園では、みんなで「鯉のぼり作り」体験をしたあと、芝生でかけっこしたり、ボール遊びをしたりして、1時間ほどで部屋に戻ってきました。最後にはすっかり打ち解けて、笑い声があちらこちらから聞こえていました。
ボランティアを終えた感想を高校3年の女の子二人組に聞くと、「1〜2歳で言葉が分からないから、あまり会話ができなかった。でも、ちゃんと目線を合わせてしゃべると、結構わかって笑ってくれたりして」「いろんなことしてみても泣いちゃったりして、よくわかんなかったけど、笑ってくれるとすごい嬉しかったし、楽しかった」と答えてくれました。うまくいかなかったり、工夫が実ったり。それぞれに楽しんだようです。
また、高校1年の女の子に平井キャスターが「もし、自分に子供が産まれたらどうする?」と聞いたところ、「近所の同じ世代の子とかといっぱい遊ばせてあげたいし、公園とかもいっぱい行って、お母さん同士も仲良くなって、子供同士も仲良くなって。そういうのがいい!」と元気な答え。将来のシミュレーションができたようです。
ボランティアを企画した谷田部さんとしては、1回の経験ですから、「お互い遊んで楽しかったね!だけで終わってもいい」と考えているそうですが、それぞれに、今はわからなくても、きっと学んだものがあるでしょう。
この「赤ちゃんと遊ぶボランティア」は、去年の夏休みに続いて2回目。今回谷田部さんが嬉しかったのは、「ボランティアに応募してきた子供のほとんどが、親から言われたのではなく、自分で申し込んで来たこと」だそうです。定員オーバーで泣く泣く、断った子も多いんです。
子供たちの意欲を生かすためにも、横浜の色んな地域で企画されればいいな、と思った平井キャスターでした。
「ぷらっとカフェ」があるのは、都筑区の真ん中。横浜市営地下鉄「センター南」駅の近くで、ここ数年の間にマンションや住宅が建ち並び、人口が急増した地域です。だからまだ、住民のコミュニティができているとはいえません。逆にいうとこれから育っていく街。今回のようなボランティアやイベントなどを通じて、子育て中のお母さん達だけでなく、子供達から高齢者まで、様々な世代の人が集まるようになれば、「ぷらっとカフェ」から地域の様々な「つながり」が今後生まれてくるかもしれません。