
桜も満開の東京・代々木公園で、3月最後の日曜日の30日、「ONE KOREA FESTIVAL TOKYO 2008」(ワンコリ)が開かれました。在日コリアンと日本人の「学生」が中心となって運営しているお祭りです。
午前10時のオープニングをかざったのは「よさこいアリラン」。高知発祥の「よさこい鳴子踊り」と朝鮮半島の民謡「アリラン」をミックスした「よさこいアリラン」は、初めて学生が主体となって運営した2002年の「ワンコリ」で生まれました。その時踊ったメンバーからチーム「はなこりあ」が生まれ、今回も総勢80人で、オープニングの他、2回のステージを披露しました。自分達が踊るだけでなく、「総踊り」では観客も一緒になって楽しみました。
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祭りの当日、「はなこりあ」が「よさこいアリラン」を披露 |
80人のうち約10人は、今回初参加。祭りの3週間ほど前に新崎真倫・情報キャスターが練習にお邪魔しましたが、「踊りが大好き」というある女性は「よさこいにも興味あったし、アリランにも興味がありました。一度見てみようと思って練習に参加したらはまってしまいました。笑顔で何か伝えよう、としている感じがあるんです。本番は、うまいというよりは伝わる踊りをしたいです」と抱負を語っていました。
また、ある男性は「とにかく、体を動かして一緒に踊るのが楽しいです。アリランや朝鮮半島の文化については何も知らなかったけど、誘われた時、面白そうだと思いました。まずは踊って、そしてこれから意味も学ぼうと思います」と話してくれました。
また、裏方としても関わってきたという在日コリアンの女性は「最初は異文化の融合に興味があったり、在日としての気持ちで入ったけれど、今は踊ることで表現する楽しさも思うようになりました」と話していました。
「楽しみたい」という思いは「ワンコリ」を作る学生達も同じです。去年の夏から準備を続けてきましたが、学生達はみんな「楽しいことしよう!お祭りしよう!」と集まって来たそうです。新崎キャスターが祭りの一ヶ月ほど前に、マンションの一室にある事務所を訪れると、部屋はまるで学園祭を前にしたサークルの部室のようで、楽しそうだし、熱気も伝わってきました。
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新崎キャスターのインタビューに答える代表の金貞恵さん(右)と広報担当の村瀬文香さん(左) |
「ワンコリ2008」のテーマは「違いを知る、そこからつながる」。
インタビューに答えてくれた実行委員会代表の金貞恵さんは「国際化とかグローバル化という言葉があると、背景を考えずに、他の民族を好きだと軽々しく言えてしまいます。そこに問題意識を感じていました。軽々しく言うのではなく、つながるためには、違いを大切にしたい。違いを知ってからつながっていこうと思ったんです」と説明します。
例えば、毎回開かれているファッションショー。前回までは二つの文化をミックスした衣装を披露したんですが、今回は「color`s fashion show」と題して、着物とチョゴリ、二つの伝統衣装を学生デザイナーがアレンジし、それぞれ学生モデルが着て、披露しました。
また、「ONE KOREA MUSEUM」では、在日コリアンの一世、二世や、その同年代で、若い頃をソウルで過ごした日本人の方へのインタビューなどを通して、在日コリアンの歴史と現状を伝えるパネルが展示されました。また、「ワンコリ2008」を準備する道のりと、スタッフからのメッセージも展示してあって、どちらの展示にも「まずは違いを知ってほしい」というスタッフの想いが込められていました。
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放送翌日、祭りを楽しんだ新崎キャスター。左は広報担当の渡部頼子さん。 |
そのメッセージを伝えるためにも、「楽しむ」企画が盛りだくさん。都内の焼肉店が協力して、焼肉などをお手頃な値段で提供。直径2メートルもある巨大鍋で作るキムチチゲも登場しました。「王こりあかふぇ」では、それぞれの雑誌や絵本を読み比べながら、美容によい伝統茶でお客さんにリラックスしてもらいました。
事前のインタビューで、広報担当の宋基央さんは「普段あまり経験できないことを経験できる場です。韓流でもない、日本のお祭りでもない、微妙なバランスが表現できると思います」と話します。また、同じく広報担当の村瀬文香さんは「新しい生活が始まるこの時期、今まで目を向けていなかったことに目を向けてみよう、というきっかけになれば、と思います。日本の風物詩、桜を見ながら、コリアの文化を楽しんでほしいです」と話していました。
代表の金貞恵さんが強調していたのは「五感」。「食べたり、焼肉でにおいをかいだり、音楽を聴いて視覚を刺激したりと、どんな角度からでも楽しめるお祭りになっています。多くの方が来て、私達の思いを汲み取ってくれたらいいですね」と話していました。
祭り当日、新崎キャスターは「食べる」「聞く」「見る」と「五感」で感じ、すっかり楽しみました。同じように、訪れた約3万人弱のお客さんも「ONE KOREA FESTIVAL(ワンコリアフェスティバル) TOKYO 2008」を楽しみ、そして「まずは違いを知ってほしい」という若い学生達の想いを感じ取っていたのではないでしょうか。
関連情報・お問い合わせ先
- ONE KOREA FESTIVAL TOKYO 2008
http://www.onekoreatokyo.com/