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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

高齢化進む寿町を、若者が変えていく
〜横浜ホステルヴィレッジ

放送日:2008年03月22日
日雇い労働者が多く住む町、横浜市の「寿町」。「ドヤ」=簡易宿泊所が立ち並ぶ寿町の風景は変わりませんが、今は住民の半分が高齢者。日本の高度成長を支えてきたドヤ街には、かつてのような活気はなくなっています。

2月の誕生パーティ
2月の誕生パーティ
坂本麻子・情報キャスターが寿町を訪れたのは2月の第3土曜日の夜。寿町の一角にある「横浜ホステルヴィレッジ」のフロントでパーティが開かれていました。
「横浜ホステルヴィレッジ」は3年前にオープンしたバックパッカー向けの宿です。誕生パーティは月一回開かれていて、ドイツやアメリカからの旅行者に、スタッフやボランティアの大学生も加わり、とても賑やかでした。
横浜ホステルヴィレッジは「3年前にオープンした」といっても、新しく建てられたわけではありません。高齢化で住民の数は減る一方のため、簡易宿泊所には空き部屋が増えています。その空き部屋をバックパッカー向けに改装したんです。「ドヤ」を「ヤド」に変えたんです。
パーティには取材中の坂本キャスターもしっかり参加
パーティには取材中の坂本キャスターもしっかり参加
建築家の視点から、寿町の街作りに関わってきた岡部友彦さんは「このままでは寿町は人が減る一方です。今何か手を打たないといけない。寿町は岐路に立っていると思うんです」と話します。そして、「街をもう一度盛り上げるための一つのやり方として、新しく外の人達がこの街の中に入る仕組みを作っていくことが必要じゃないかと思って始めたのが、バックパッカー向けの宿なんです」と説明します。今は95パーセントが単身者の男性、という寿町を、旅行者が入ることをきっかけにして、様々な世代、そして様々な文化を持つ人たちが住む街に、少しずつ変えていきたいというのが、岡部さんたちの考えです。

「横浜ホステルビレッジ」を運営する「コトラボ合同会社」は予約や宣伝、フロント業務などを引受け、収入を簡易宿泊所のオーナーと分け合って、利益をあげています。「コトラボ」の代表でもある岡部さんは「今までの社会活動はボランティアベースでやっているところが多いんですが、それでは持続するのは大変だし、若い人が加わるためにはそれなりに食べていける仕組みがないといけないと思うんです」と話します。ビジネスとしての枠組みを使って、街を元気にすることに取り組んでいこうというわけです。
寿町では、街作りに取り組むNPOが、環境の改善や食事や医療、介護といった高齢者のケアやホームレスの自立支援などに取り組んでいますが、補助金や寄付なしではやっていけないのが現状です。そういう「今の住民へのケア」は続けながら、街作りに取り組むためにもビジネスとして始めたんです。

標準的な3畳の部屋
標準的な3畳の部屋
「横浜ホステルヴィレッジ」には現在、3つの簡易宿泊所に合わせて60の部屋があります。JRの石川町や関内の駅からもすぐ。横浜の主な観光スポットを徒歩や自転車で回れる場所にあるのも利点です。
ほとんどの部屋は一泊3千円で、ドヤによくある3畳一間です。坂本キャスターも見学させてもらいましたが、明るい壁紙が貼ってあって、狭苦しさは感じません。観光や仕事に 出かけるわけですから、寝るだけだったら十分という感想でした。また廊下には、様々な絵が飾ってあって、おしゃれな雰囲気を漂わせています。共用のシャワーやキッチンなどの水回りも清潔に保たれてます。スタッフは20代、30代の若者が中心です。
誕生パーティが開かれたフロントは別の建物の1階にあって、自由に利用できます。フロント業務だけでなく、旅行のための色んな相談ができますし、インターネットも使えます。誰かが自分の国の料理を作っていて、それがいつのまにかパーティになることもありますし、サッカーの国際試合の時はサポーターでごったがえして、宿泊所の屋上には応援の横断幕がひるがえるそうです。

フロントの入り口
フロントの入り口
バックパッカー向けとして始まりましたが、利用客は、日本人6に外国人が4ぐらいの割合。日本人は旅行や出張で泊まる人だけでなく、受験や就職活動の若者もいます。国際会議の出席者とか美術展に参加したアーティストも泊まっていきます。
2月から3月にかけて、岡山県の倉敷芸術科学大学の学生たちが研究活動のため長期滞在しました。外国人の旅行者と春節の中華街を訪れたりと、観光も楽しんだという2人の女子学生に聞くと、1人は「昼間なのにおじさんがわらわらいて、何してるんだろうって思いました。全然知らなかったから、最初はただただ驚きました」と話します。1人では抵抗あるけど、何人かで来れば安いし、全然便利で良いですよ、というのが泊まった感想でした。
もう1人は「思ったより狭いなって思ったんですけど、住んでみると、1人だったら結構快適かも、と思って、ちょっとツボにはまった感じはありますね」ということです。「だんだん慣れてきて、おっちゃんがおるのも当たり前と思えるようになってきたし、おっちゃんも話しかけたらすごい挨拶してくれはるんです」と長期滞在した感想を話してくれました。
元々、学生達の研究テーマは「アートで街作りに加わることで、アーティストの自立を考える」というもので、驚いたり、なじんだりと「充実した」長期滞在の間に、フロントのとてもおしゃれな看板を作っていったそうです。

そうやって、積極的に街に関わっているのは若者達だけではありません。岡部さんの話では、街のオジサンが道に迷っている外国人をフロントまで案内してくることもあるそうですし、建設土木系の仕事はお手のものの人が多いので、フロントの内装は学生ボランティアとオジサン達が協力して行ったそうです。住民と若者の交流も少しずつ生まれているんですね。

岡部さん達は、旅行者がこれからもっと増えれば、旅行者向けのカフェやクラブなど新しいビジネスが生まれ、さらに街が盛り上がるだろうと考えています。また、「横浜ホステルヴィレッジ」だけでなく、他にもいろいろ街作りをしかけたいと考えています。
今いる住民のケアは続けながら、寿町が若者パワーで再生しつつあるのかもしれません。いつかは家族連れなど様々な人が住む町になるかもしれない、と思った坂本キャスターでした。