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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

外国人女性へのDV被害を考える

放送日:2008年02月09日
移住女性が切り拓くエンパワメントの道
カラカサンの活動をまとめた本「移住女性が切り拓くエンパワメントの道」
日本人と外国人の「国際結婚」は年々増えていますが、およそ8割は「日本人男性と外国人女性」の結婚です。数が増えると共に、外国人女性がDV=「ドメスティックバイオレンス」の被害者になるケースも現れています。

外国人女性の場合、身体的暴力や性的暴力、経済的暴力などは日本人の被害者と共通する部分もありますが、もっと深刻な暴力があります。
外国人女性を支援している「カラカサン移住女性のためのエンパワメントセンター」(事務局・川崎市幸区)の山岸素子さんによりますと、例えば「自分がいなかったらビザをもらえないんだぞ」とか「国に帰れ」といった「日本にいること自体」を否定されるような暴力があるそうです。
また、「おまえの国の料理はまずい」とか、「何で日本の料理作らないのか」とか、「日本語うまくなれ」とか、「文化的なこと」に起因する暴力=「文化的暴力」も深刻だそうです。外国人であることでいわば「二重に」差別されているわけです。結婚した最初の段階から日本人男性の方に、女性の出身国やその国の人に対する蔑視がみられる場合も多いそうです。

4年前のDV防止法の改正では「被害者の国籍を問わず、人権を尊重した対応をすること」が明文化されました。しかし、現実には外国人女性のDV被害者は誰にも相談できず、地域で孤立しているんです。
「在留資格」には夫の協力も必要なので、暴力をふるわれても逃げ出せなかったり、日本語が十分できないために、相談窓口などの情報が伝わりにくかったり、 地域に知り合いもいないので、誰に助けを求めていいかわからない、という状況があるんです。

「カラカサン」は2002年に作られ、電話や家庭訪問などの形で相談やカウンセリングの活動を行っています。現在の所は、フィリピン人女性からの相談が大部分を占めています。
暴力から避難するためのシェルターを探したり、離婚の手続きを助けたり、仕事探しや育児の相談など、「日常生活のための支援」を行います。

そしてさらに大切なのは、DVで失われた「生きる力」を回復すること。「自分の中にある力を、他者との関係の中から引き出す」=エンパワメントの活動です。
そのために被害者の女性達5,6人のグループを作り、その中で、お互いのDVの経験を語り合ってもらったり、暴力の被害者になってしまった原因は何だったのか、これからどうすればいいのか、一緒に考える機会を作っています。
その成果の一部は、「移住女性が切り拓くエンパワメントの道」という本にまとめられました。副題は「DVを受けたフィリピン女性が語る」。「一人で抱えているんじゃなくて、一緒に話し合って、自分の経験を他の人たちと共有し、受け入れてもらう中で、自分も癒されるし、問題解決が見えてくる。そして、もっと良い方向に向かって、一緒にエンパワメントしあえる。それがカラカサンの活動の目指すところです」と山岸さんは話します。こういう支援はまだまだ不十分と考え、グループの名前に、フィリピンのタガログ語で「力(ちから)」という意味の「カラカサン」をつけたんです。
スタッフの鈴木カルメンシータさんも国際結婚です。ご自身はお互いの文化や言葉を尊重し、理解しあえる家庭を築いているということですが、教会の活動を通じて、DVの問題に関心を持ち、子育てが一段落したところで、「カラカサン」に参加しました。「カラカサンで活動していると自分自身の中にも力があることを感じます」と鈴木さんは取材した崎山敏也記者に話してくれました。

鈴木さん達スタッフは、精神的に参っている時に身体をリラックスさせるための「マッサージ教室」を開いたり、聖書に出てくる女性について、一緒に勉強する会を開いたりしています。また、フィリピンの料理や音楽を楽しんだこともありますし、2007年は、伝統的な踊りを一緒に練習して、川崎市で開かれている国際交流のイベントやお祭りで披露したそうです。「参加した女性たちはとても生き生きした表情だった」と山岸さんと鈴木さんは口を揃えて話していました。
鈴木さんは「自分の言葉で話せると安心するし、自由を感じます。そして女性達と気持ちも共有できます。自分の文化の中にいると気持ちいいし、誇りも感じます」と話していました。
相談に来た女性の中には、今はスタッフに加わり、日常の支援の他、「DV防止法」の改正の時には、政策を提言する活動に加わった方もいるそうです。
一方でまだまだ多くの外国人女性が厳しい状況に置かれています。
また、カラカサンでは子供のケアにも力を入れています。子供たちは母親へのDVを目撃したり、虐待によるトラウマを抱えたりしていますし、離婚した母親は生活に必死で、経済的にも恵まれないなど、非常に困難な家庭環境の中で育っています。
そこで、子供たちの出会いと交流を深めるために、月一回交流イベントを開いている他、フィリピンの料理教室や、言葉と文化の教室も開いているそうです。子供は日本で育っているので、フィリピンの言葉ができなかったり、親の作ったフィリピン料理が食べられないこともあるので、親子の交流を取り戻し、自分の文化への理解、誇りを持ってもらうためです。
「子供達のケアに関わるボランティアは今とても必要としています」と山岸さんは話していました。

「暴力」をなくすためには外国人女性やその子供の置かれている状況はもっと知られる必要がありそうです。 地域の日本語教室など様々な国際交流の場に参加してみてもいいかもしれませんし、山岸さんは 「まずは地域に住んでいる外国人と付き合う機会を作ってみれば、いろんなものが見えてくると思います」と話していました。