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小田急ライフアソシエの内田さんに説明を受ける山口リポーター |
子育てを支援する取り組みは各地で様々な形で行われていますが、東京・世田谷区では駅から近い便利な場所に、官民一体で多機能の子育て支援施設を作る取り組みが進んでいます。
その一つが2006年の10月に開設された「子育てステーション成城」。小田急線の成城学園前駅の駅ビル「成城コルティ」の3階にあります。
美容室やアロマテラピーなどのお店がある通路を奥へ入っていくと、「子育てステーション成城」があります。東京都の認証保育所「小田急ムック保育園」。ここでは、区からの委託事業で、一時預かりの「ほっとステイ」も運営しています。それから、0歳から3歳児を対象にした親子で遊べる「おでかけ広場」。「おでかけ広場」では月に2回、予約制で専門の医師に発達障害について相談もできます。合わせて「4つの機能」があるわけです。
山口智子・リポーターが取材した日はあいにくのお天気でしたが、「おでかけ広場」には次々にお母さんが子供を連れてきて、遊ばせていました。「区の歯科検診があったので、その帰りです。雨なので電車に乗る前に遊ばせて帰ろうかな、と思って」というお母さんや「近所の公園だと公園だけになっちゃうし、お買い物ならお買い物だけになっちゃいます。遊ばせるのとお買い物と両方できるのは便利ですね」と話すお母さんもいました。
子連れで買い物したり、遊ばせたりする時、あちこち移動するのは大変。かなりのパワーが必要です。一度に済みますし、駅の改札からもすぐなので、大変便利なようです。
また、「一時預かり」には定員がありますが、連日満員状態です。「子育てステーション成城」を運営する「小田急ライフアソシエ」の内田敦子さんの話では、同じフロアにある美容室やアロマテラピーサロンに行く間預かってもらったりとか、ビル内のレストランで友達とランチをする間預けたりと、お母さんたちも自分のための時間に上手く利用しているようです。
一方、月に2回の「発達相談」も予約でいっぱいです。保育園や「おでかけ広場」と同じ場所でできる良さについて、内田さんは「子育ての悩みを持っていたりしている時、なかなか区役所のほうに足を踏み入れるのは敷居が高いんですが、遊びの広場に来て、いろんな方とお知り合いになって話をしていくうちに、ちゃんと専門家の方に相談したほうがいいなと、気づいて、相談する方も多いんです」と話します。
また、「発達相談以外にも虐待の問題などで、気になるお子さんが広場にいれば、スタッフもすぐ行政に相談することができます。また、区の子育て情報もすぐに入ってくるので、それを提供できるのも利点ですね」と内田さんは話していました。
行政と民間の連携や「駅の近く」である「良さ」が生かされているようです。
世田谷区の計画では2009年度までに、「成城」も含め5つの地域の駅の近くに「子育てステーション」をオープンすることになっています。
その一つ、東急田園都市線の三軒茶屋駅の近くにも2箇所目の「子育てステーション」が完成しつつあります。近くの昭和女子大学のNPO法人が運営する認証保育所や子育てルームがあって、学生がボランティアで参加しているのが特徴なんですが、2007年末に「子育てルーム」がサービスを拡大して、「おでかけ広場」としてリニューアルしました。2008年の春には発達相談も始まる予定で、これで「子育てステーション」としてスタートすることになります。
民間と連携したり、様々な子育て支援の機能を一緒にしたり、駅前の便利な所に作ったり。
それぞれ、各地の自治体で試みられているようですが、世田谷区の試みも「安心して子供を育てられる街づくり」の一つのいいケースになるかもしれません。