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「乳幼児親子第二教室」の中 |
発達の遅れがあったり、障害のある子供を持つお母さん達には何らかの「子育て」支援が必要ですが、特に子供がまだ0歳から3歳ぐらいの乳幼児の頃は、お母さんは家で子供と2人、事実上「ひとりぼっち」です。
山口智子・リポーターが取材した江東区のNPO法人「子育て支援おやこ」は「ひとりぼっちで悩むお母さんを少なくしよう」と障害を持つ子供を0歳から受け入れています。
「子育て支援おやこ」の教室は朝来てから午後帰るまでの流れが毎日
「同じ」になっています。規則的な生活リズムを身につけるためです。
朝9時半に登園して好きな遊びを自由にした後、10時からは「朝の会」。みんなで歌を歌ったり絵本の読み聞かせなどをします。10時半からは遊びや運動。その後、お昼ごはん、そしてお昼寝、という感じです。
山口リポーターが取材した4歳、5歳児のひまわり組では、「朝の会」であいさつの後、歌を歌いました。保育士さんが子供を抱っこして歌う歌もあり、スキンシップを大切にしながらの「朝の会」でした。
その後は公園での外遊び。全身を動かし、刺激を与えるんです。みんな大声で笑ったり、手をふったり、飛び跳ねたりしてそれぞれ楽しさを表現していました。どの子もすごくいい笑顔で目がきらきらしていました。
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発達段階に合わせて色々なおもちゃが揃えてある。 |
「子育て支援おやこ」の所長、中川多美子さんは「ここで大事にしているのは、自分で進んで遊べる子にすることです。しかも一人で遊ぶのではなく、他の子と一緒に遊んだほうが、もっと楽しいということを少しずつわかってもらうんです」と話します。そうやって自分の意思を自然に表現したり、他人とコミュニケーションすることができるようになるんです。
部屋の中で遊ぶためのおもちゃも発達段階に合わせてたくさん揃えてあります。例えば、絵本はめくりやすいようにハードブックにしたり、言葉が遅い子供には、「繰り返し」のある言葉が載っている絵本とかを読んであげるそうです。真似することが、言葉を話すことにつながるんです。
「乳幼児親子教室」が誕生したのは23年前。中川さんを始め、障害を持つ子供の親たちが0歳から受け入れる教室を始めたんです。始めた頃はダウン症や、重度の肢体不自由の子供が多かったそうですが、知的障害や自閉症などの「発達障害」を持つ子供にも同じような支援を、ということで、だんだん人数も増え、6年前には近くにもう一つ教室ができました。現在は、半分以上は発達障害を持つということで、一人一人に合わせた対応がより必要になってきています。
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1人になりたい子のため、段ボールと布で手作りした「お家」 |
子供を通わせて4年、というお母さんに聞きますと、「親子教室でやったことを、家で披露してくれるとすごく嬉しいです。教室の存在は心強くて、通ってなかったらどうなってたんだろうと思います」と話します。また、通わせて3年になるというお母さんは「親が全然させていなかったお手伝い、例えば家事とか自分でやりだして、あんなこともできるんだと、びっくりしました」と話していました。
保護者のためには、お医者さんや心理発達相談員、言語聴覚士の方などを招いた「勉強会」もあります。また、「保護者会」では保護者同士の交流だけでなく、教室を終えた先輩のお母さんの話を聞く機会などもあります。お二人によるとすごく励まされたり、話を聞いて悩んでいた自分も成長したり。こうして親は子供の発達の遅れや障害を、時間をかけて受け止めていきます。親も子供も一緒に成長するんですね。
「子育て支援おやこ」の「乳幼児親子教室」は、江東区の地下鉄住吉駅近くにあります。地域の町会の夏祭りにゲームのコーナーを出すなど地元の人たちの理解にも支えられているそうです。今後も地域に根ざして、子育てで悩むお母さん、お父さんの声にも応えていきたいということでした。
「一人で抱え込まなくていい」、「寄り添ってくれる場が地域にある」のは大事だなと思った山口リポーターでした。