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「FikaFika(フィーカフィーカ)」は杉並区の永福和泉地域区民センターの1階にある |
東京・杉並区の2つの区民センターに知的障害者が働く喫茶店「Fika Fika(フィーカフィーカ)」が今年の4月、オープンしました。障害者の職業訓練に使っていた喫茶店を民間の「特例子会社」の経営に変えて、リニューアルオープンしたものです。
「特例子会社」とは企業で働く障害者を増やすための制度で、障害者が働きやすいような配慮のある「子会社」。そして「特例子会社」で働く障害者は「親会社」が雇っているとみなすことができるので、障害者の雇用促進にもつながります。
「フィーカフィーカ」は、アパレル会社「ワールド」の特例子会社「ワールドビジネスサポート」が運営しています。
「ワールドビジネスサポート」では100人近い障害者が主にワールドグループ内の「事務系」の職場で働いていますが、以前から知的障害者ができる仕事、働ける職場をもっと増やしたいと考えていました。そこにちょうど、「障害者がもっと働ける地域社会を目指したい」という杉並区が、喫茶店を運営する「特例子会社」を募集していたのです。
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「フィーカフィーカ」の店内 |
喫茶店の仕事は「ワールドビジネスサポート」としても初めて。ノウハウは一から勉強ですが、一方で、アパレル会社らしさも見られます。ワールドビジネスサポート人事企画課の槙あゆみ課長は「企業がやるということであまり福祉色が強くないように、アパレルがやるからにはユニフォームもそれなりにこだわってますし、明るい雰囲気を出すようにしています」と話します。「フィーカ フィーカ」はスウェーデン語で「お茶をする・ゆっくりする・くつろぐ」といった意味があるそうですが、店内にはどの年代の方にも、ゆっくりとくつろいで頂けるような色合いを使ったそうです。床やテーブルは木目調。ユニフォームは紺の帽子に白いTシャツ。ベージュのズボンに、黒いエプロン。エプロンは腰の後ろでマジックテープで留められるので、誰にでも着やすくなっています。また、仕事の指導は杉並区や区内の福祉作業所などに力を借りています。民間と行政、地域が一体となって運営を進めているんです。
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ワールドビジネスサポートの槇あゆみ人事企画課長(左)にインタビューする山崎キャスター |
オープンから3ヶ月、「フィーカフィーカ」には以前の喫茶店の頃からのお客さんは変わらず来ていますし、売り上げも今までのレベルは保っています。ただ、槙課長は「障害がある方が活躍できる場を継続させるためには、それなりに経営も安定していないと、いつまでも継続していくのは難しい」と話します。
今後の経営努力としては、例えば、7月末に区民センターで行われるお祭りでは、「フィーカフィーカ」で和太鼓のライブを開きます。また、区民センターの中ではいろんなサークルが活動しているので、そのサークルの発表の場を提供することも考えているということです。今までのお客さんにプラスして、「フィーカフィーカがあるから、じゃあ行こう」というふうになるようにしたい、と槇課長は話していました。
(もう一店舗は井草地域区民センター内。10月には杉並区役所内にオープン予定)